介護保険も施行から3年目に入り、利用者の理解もだいぶ進んできました。要介護認定を受け、新たにサービスを依頼してくる高齢者も増えて、居宅介護支援事業所も居宅介護事業所も大忙し。慢性人手不足状態です。
それで魔が差した……というわけではないでしょうが、ちまたでは違法とわかっていながら、やってはいけないことをしている事業所もちらほら。
あなたの事業所は、まさかやっていないですよね?
●ケアマネジャーの名義貸し
介護保険の規定では、居宅介護支援事業者のケアマネジャー1人が担当できるケアマネジメントは、本来50件まで。そんな規定を設けなくても、まじめにケアマネジメントをしようと思ったら、せいぜい30件がいいところ、と現職ケアマネジャーは言います。
とはいうものの、利用者は増え続け、ケアマネジメントニーズは相変わらず高い状態。
もちろん、ケアマネジャーも毎年輩出されているのですが、どういうわけか実働人数は大して増えていない様子。試験に受かった人たちは、いったいどこに行ってしまったの、というかんじ。
そこで、依頼があったら引き受けるだけ引き受けて、ベテランのヘルパーやソーシャルワーカーにケアプラン作成を担当させ、書類上の名前だけケアマネジャーの名前にする、という手口を使っている事業者が少なからずあるらしい。
ケアマネジャーではない人がプランを立てるといっても、利用者が自分でケアプランを立てる「セルフケアプラン」という形にし、ケアマネジャー予備軍の人たちがプランを作成した報酬はもらわないということなら、もちろん問題はありません。
でも、利用者と接してケアプランを立てているのは無資格者なのに、書類上はケアマネジャーの名前にし、介護報酬を得ているとしたら、これは違法行為です。
実際、埼玉県では実在のケアマネジャーの名前を無断借用してケアプランを作成し、しかもそのプランに基づいて自社のヘルパーを派遣していた事業者が、居宅介護支援事業者の指定を取り消されたりしてます。
もしかしたら、忙しい同僚を手伝っているうちに、こうした違法行為にはまっていってしまう、という人もいるかもしれません。でも、違法は違法。介護報酬詐取の片棒を担いだりしないよう、心したいものです。
→次は「ヘルパーのカラ派遣」