介護・福祉業界で働く・転職する/介護・福祉業界の仕事

「特養」?「老健」?介護業界における職場の基礎知識(2ページ目)

異業種からの転職を考えていても、介護業界における「職場」が良く分からない方も多いのではないでしょうか。自分に合った応募先を探すにしても基礎知識が必要です。そこでまずはどんな職場があって、どのような種類や役割があるのか理解することから始めましょう。

井上 ルミ子

執筆者:井上 ルミ子

介護・福祉業界で働く・転職するガイド


「訪問入浴サービス事業者」

湯沸かし器を搭載した訪問入浴車で、利用者宅を訪問。組立式の浴槽を利用者宅に持ち込み、1時間弱で組み立て、お湯張り、入浴介護、片づけを行う事業者です。自宅の浴槽での入浴が難しい重度の方に喜ばれています。1軒家だけでなく、マンションタイプの自宅にも訪問し、狭い間口でも行き来できるほど、コンパクトな浴槽になっています。

職員として働くなら、看護師1名、介護職2名の3名で1チーム、1日5~7件程度の利用者宅を訪問する仕事なので、協調性と、手際の良さ、体力が求められます。お風呂に入る高齢者の表情や反応は、まさに「生きた心地がする」を体現化したようで、そんな場面に遣り甲斐を見出す人も少なくありません。

「通所介護・通所リハビリテーション事業者」

デイサービス

デイサービス機能訓練

在宅で介護を受けている高齢者を送迎し、事業所で心身の機能回復という目的を持って過ごしてもらうサービスです。かつては食事、入浴、レクリエーションなどを提供し、1日お預かりするイメージが強かったのですが、今後は心身機能回復に重きがおかれると思います。

職員として働くなら、誰もがのぞむ「自宅での生活」を継続する支えとして、家族、地域、他の関係者との連携が、目的達成に結びつくことを体感したい人に向いています。具体的には、認知症への対応、医療ケアを含めた重度介護への対応、脳梗塞や骨折の回復期の訓練、計画的リハビリを経験することができます。

また基本は日中の介護なので、夜勤のできない人にとっては条件が合いやすいのではないでしょうか。制度上は無資格者も勤められるので、やる気があれば問い合わせてみましょう。

「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」

グループホーム

余暇を楽しむ時間

認知症の高齢者が、リビング、キッチン、居室がそろった住宅環境の中、専門スタッフに支えられ生活する場所です。1ユニット9人以下で2ユニットを運営しているところが多く、コンパクトなだけに、職員、入居者とも馴染みの関係です。

さっきしたことを忘れてしまう短期記憶障害があっても、料理、洗濯、繕い物、畑作業など、以前していた事は今でもやれるという人は多いものです。そこでグループホームでは、かつてのように料理、洗濯、買い物など出来る事を行って頂き、今までの生活習慣の延長を実現することで、 自分らしく過ごして頂くのが狙いです。

職員として働くなら、いかにその人らしく過ごせるかを考える介護、本来の持っている能力に再び働きかける介護を経験することになるでしょう。介護保険上では、無資格でも採用は可能であるため、やる気があれば挑戦してみましょう。ただ資格の有無以前に最も大切な事は、「待てる」「聴ける」人であるかどうかです。何度も同じことを繰り返す高齢者だからこそ、自分が必要とされていることに遣り甲斐を感じられる人におすすめです。

「福祉用具貸与・販売事業者」

福祉用具事業所

福祉用具機器

車いすや介護用ベッド、歩行器、スロープなどのレンタル、介護用おむつ、ポータブルトイレなどの販売を行う事業です。重要なのはレンタルや販売後の関わりであり、適宜訪問し使い心地を確認したり、変化する症状に合わせ商品の変更を行ったりします。さらには、福祉用具の専門家として、施設職員への研修を求められることも多いです。

この事業者には、福祉用具の専門知識を持ち、利用者に最適な用具選びのアドバイスをする「福祉用具専門相談員」という資格を持つ従業員が必要で、専門員には、介護福祉士、看護職、理学療法士、ホームヘルパー2級以上などの有資格者か、40時間の厚生労働省指定講習修了者がなれます。

職員として働くなら、利用者の状態や住環境にあった福祉用具を選ぶ知識力、正しい使用に繋げるための説明力、そして点検や調整を通じて培われるアセスメント力などが身に付きます。


このように、介護の職場にはたくさんの種類があり、それぞれに特徴があります。自分が介護のどのような部分に興味を持っているのか、どのような職場なら自分らしさが発揮できるのかを考えてみてください。
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