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経営革新手法の3本柱 SCM入門

SCMとは、部品や原材料メーカーから消費者にいたるまでの商品の流れを、IT技術によって効率化・全体最適化する手法です。具体的にSCM導入でどのようなメリットがあるのか、考えてみましょう。

執筆者:大石 哲之

前回は、ERPとは何ぞやというところについてお話しました。今回は、ERPとならんで主たる経営革新のコンセプトであるSCM(サプライチェーンマネジメント)、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)について概説しようと思います。
今回は、SCM(サプライチェーンマネジメント)です。

 

SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?

サプライは「供給」、チェーンは「連鎖」、マネジメントは「管理」。平たく訳せば、供給連鎖の管理ということになります。

カメラ量販店にいくと、それこそ何十万店という製品が所狭しと並んでいます。よく考えてみると、たとえばカメラのレンズが工場で生産されてから、店頭に並ぶまでは、いろいろな経路を辿っています。

工場で生産するまえに、まず原材料を調達しないといけません。工場ではそれを加工したり組み立てたりして、製品に仕立て上げます。さらに、卸に出荷して、流通センターなどを通ります。最後に、小売店に並んで、最後に我々消費者が購入するのです。

これらの一連の流れを「サプライチェーン」と呼んでいます。この「サプライチェーン」を適切に管理して、効率化し、無駄をなくすというのがサプライチェーンマネジメントの手法です。ERPのときと同じように、SCMでも「情報共有」と「全体最適」がキーワードになります。

SCMがないとこんなまずいことが起る

例えば、携帯音楽プレイヤーを例にとりましょう。プレイヤーがヒットして、急激に需要が伸びたとします。小売店は、商機を逃すまいと、卸にたくさん発注します。このとき、自分のところに多くの商品をまわしてもらおうと多めに発注をかけることがあります。

それを受け取った卸は、こんどはメーカーに発注をかけます。これも小売りの引き合いが凄いと言うことで、多めに発注をします。メーカーは、これはヒットだとばかり、たくさん生産します。生産が追いつかないので、見込みで大量に原材料を仕入れたりします。

消費者の購買動向が、サプライチェーンの上に上がっていきます(小売り→卸→メーカー→部品)。その過程には、どうしてもタイムラグがあります。

消費者のニーズが、川上まで情報が到達するのに何週間も何ヶ月もかかってしまうわけです。まさにブームの真っ最中に、商品がない、買いたいけれども買えないという状況が起ってしまうのです。

そして、タイムラグを経て、やっとのことで増産して、携帯プレイヤーを大量に小売りに供給できたとします。しかしその時には、ブームは落ち着いてしまっているものです。そうすると残るのは大量の在庫・・・ということになります。

これでは、サプライチェーンに参加しているひと全てが損をするはめになります。なんとか、もっと効率よくできないのか?部品からメーカー、卸、小売りまでが、供給と需要に関する情報を共有し、適切な流通マネジメントができないものか?システムを共通なものにして、うまく連携をはかることができないか?その結果、全体として、無駄がなく、商機を逃さず、在庫を圧縮できないものか?

これが、サプライチェーンマネジメントの考え方です。
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