海外で働く・転職する/海外での仕事・働き方

「青年海外協力隊」の理想と現実(中編)(2ページ目)

前回は「青年海外協力隊」の概要をお伝えいたしました。今回は、実際の仕事内容、そして現場の光と影について体験談を交えてお伝えしたいと思います。本気だからこそ知っておきたい内容です。

執筆者:須子 はるか

現場での試練

現場での試練
事前に現地の様子を知っていても、実際の場面では呆然とすることもしばしば
私と現地スタッフの意識の差はとてつもなく大きかったです。派遣前訓練でも日本と途上国の文化の差については散々聞かされるのですが、実際に目の当たりにするとボーゼンとすることもあります。これは他の職種でもよく聞く話ですが、隊員が何か指導すると、「君は日本人だから出来るだろうけど、この国にはお金もないしトンガ人の俺には出来ない。」みたいなことを言われるんです。

日本流の仕事をそのままトンガに当てはめることが出来ないのは百も承知だけど、トンガ人だからトンガ流の仕事を続けていたのでは協力隊員が来た意味がない。どこかで、それまでのトンガ流とは違う、一歩でも半歩でも進んだ仕事の方法が見つけられればいいのですが、言葉で言っても伝わらないそれは、やはり同じ目線で一緒に仕事をしてお互い影響し合いながら見つけていくものだと思います。

時には自分の仕事の見方を変えることもありました。現地スタッフには手に負えず私一人で機械を修理することも時々あったのですが、初めのうちは意味のないことをしてしまったと考えていました。現地の技術スタッフの技術力向上こそが自分の仕事だと考えていました。けど修理を依頼した医師や看護婦に感謝されると、そうか、自分はこの人達のため、さらには患者たちのために仕事をしたんだ、と考えるようにもなり、それもやりがいと感じるようになりました。

時々、顔がほころぶくらいやりがいを感じることもありますよ。私が赴任して間もなく購入した医療機器の検査機があったんですが、真新しくていろんな機能がついたその機械を、現地スタッフは怖がって使ってくれなかったんです。技術スタッフが機械を怖がるって、どんな状況か分かりますか?購入してから1年半くらいは私一人しか使ってなかったんですが、ある日スタッフの一人がその機械を貸してくれって言うんです。自分が使うから、使い方が間違ってないか見ていてくれ、と。やっと自分で使う気になったかと、正直嬉しかったです。

……けど実は、同じ病院に併設されていた看護学校の授業でその機械を使った研修があって、彼はある看護婦さんにその機械を操作してくれと頼まれたそうです。どうやら、若い看護婦さん達の前でかっこいいところを見せたかったみたいです。動機はなんであれ、それまでトンガ人には使えないと思っていたその機械を自慢げに操作する姿を見たときは嬉しかったです。それ以来必要な時は看護婦さんがいなくても使ってくれるようになりました。




現場と理想のギャップは必ずつきもの。事前に体験を共有することが一日でも早く現場に慣れるために大切ですね。

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