上がる?下がる? 金利の先行きを予想する |
ところが、ふたを開けてみると予想に反し、金利上昇はきわめて「限定的」な範囲に収まっています(下記「短評」を参照)。経済のファンダメンタルズ(基礎的基盤)が踊り場を抜け、回復路線へとその軸足を移しつつある一方で、物価情勢が今もって「脱デフレ宣言」へと辿(たど)り着けないことが背景にあり、そのことが経済成長の足かせになっているからです。そこで今回、「これから金利はどう動くのか?」金融環境の先行きを推測するとともに、住宅ローン市場の今後についても言及したいと思います。
【今年前半の住宅ローン相場 <短評>】
07年6月 短期金利は総じて上昇 長期金利は上げ下げまちまち
07年5月 短期・長期金利を問わず、引き上げムード一色
07年4月 金利上昇に一服感 特に長期型の金利タイプで引下げが目立つ
07年3月 銀行融資は利上げ フラット35は利下げ
07年2月 短期・長期金利を問わず、全面高の様相
07年1月 短期金利は上昇、一方、長期金利は下落 長短金利差が縮小
気になる長期金利の急上昇 一過性なのかが問題
6月に入り、金融マーケットに変化が起こっています。まず、株式市場では今年2月に急降下した日経平均株価が、今月に入って1万8000円台を回復するまでになりました(6月6日現在)。米国の株価が高値更新を続けていることや、為替が円安圏にあることなどが好感され、大台への押し上げ要因となっています。株式投資家にとっては、1つの節目を越えられたことは喜ばしいことでしょう。
そしてもう1点、債券市場の変化も目が離せません。というのも、5月下旬から長期金利の上昇が顕著になっており、下記グラフにあるように10年国債利回り(=長期金利)は今月に入り、1.8%の大台に乗りました。大和証券では、こうした変化の原因を「基本的には、米国をはじめとする海外主要国の金利上昇の影響を強く受けており、このことが国内市場の早期利上げ観測に結びついていることによる」と分析しています。マーケット内でも金利先高感をめぐる思惑が交錯し、長期金利の上昇につながっていることが分かりました。
長期金利の変化は、長期系のローン金利に強い影響を与えます。それだけに、長期金利の急上昇は一過性で終わるのか、それとも、本格的な上昇トレンド突入へのシグナルなのか……金利の方向感を読む“手がかり”として、こうした指標の変化に敏感になることが必要不可欠といえるでしょう。
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