今回、お話をうかがったのは、ネットイヤーグループ株式会社 代表取締役兼CEOの石黒不二代さんです。2008年ウーマン・オブ・ザ・イヤーのリーダー部門第1位に輝きました。数多くの新聞、雑誌に取り上げられ、今、非常に注目されているビジネスウーマンです。

58年、愛知県生まれ。80年名古屋大学経済学部卒業。リクルートのアルバイトを経て、81年ブラザー工業入社。29歳で結婚、32歳で出産。当時2歳の長男を連れて、渡米。スタンフォード大学大学院にてMBA留学取得後、シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立。99年ネットイヤーグループ参画。2000年よりネットイヤー代表取締役就任。著書「言われた仕事はやるな!」(朝日新書)。
スタンフォード大学、MBAホルダー、代表取締役兼CEO、ウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞など、華麗なるご経歴に誰しも近寄りがたい人を想像してしまいますが、実際にお目にかかった石黒さんは、驚くほど親近感あふれる女性。笑い声の絶えないインタビューとなりました。立場は全く異なりますが、同じワーキングウーマンとして、非常に刺激になるお話をうかがってきました。

背中を押してくれるものは
人生を振り返ることで見えてくる

ガイド:日々、公私ともに多くの意思決定をしなくてはいけないと思うのですが、迷ったり、不安になったときに、石黒さんの背中を押すものは何ですか?

石黒不二代さん:自分が右、左、どちらに行くか迷っている人には、「人生の棚卸し」をお勧めします。日常生活で、自分のことについて、徹底的に考える機会なんてあまりないと思うのですが、過去の自分をしっかり見直すことで進むべき方向が見えてきたりするものです。「好きなことがわからない」「何をしたらいいのかわからない」という人はぜひやってみてください。

人生の中で、2,3回、ここぞというときに、徹底的に自分の過去を振り返ってみることをおすすめします。
「私の人生なんて大したことない」と思っている人でも、「どうしてあの時そうしたんだろう」とか、「どうしてあの時、嬉しかったんだろう」などと考えるといろいろなことに気づきますよ。迷っているのであれば迷っているほど、そうした時間が必要だと思います。

ただしその時、自分の気持ちを既成概念の中に押しこめないことが大事です。オプション(他の選択肢)は、たくさんあると思うので、自分がいつも考えるパターンの中に入れてしまうのではなくて、色々な角度から考えてみることが大事です。自分の過去を分析すると、今まで何が自分の背中を押してくれていたものがわかると思います。

知らず知らずのうちに選んできたことが
現在の自分につながっている

ガイド:過去のことを振り返るのが大事なのですね。それも徹底的に。

子どもの頃から両親に「自分で考えろ」「自分の意思で生きろ」と言われて育ってきたんです。
石黒さん:過去の自分の選択や行動は、現在につながっているものなんですよ。例えば、アップル社の創始者、スティーブ・ジョブ氏。リード大学を中退した後、以前からカリグラフィーの美しさに興味のあった彼は、こっそりカリグラフィーの授業を受けたそうなんです。当時はもちろん、自分がアップル社を創るなんて考えてもいないわけですが。
でも、彼が学んだカリグラフィーの知識がなければ、あの美しいフォントが満載されているマックは生まれていないんです。でも彼は、カリグラフィーが好きだったから授業を取ったわけですから、それが何年後かに役立ったなんて、点と点がつながるとはこういうことですよね。自分ではどうしてなのかわからないけど好きだと思うものが、自分の選択の基準になっているわけで、それこそが自分の背中を押してくれるものなのではないでしょうか。


なるほど、これこそが「プランド・ハプンスタンス(計画された偶然)」なのだなあと納得しました。次に仕事をする上で、避けては通れない「失敗」について、うかがってみました。