女性の転職/女性の再就職・職場復帰

「両立重視」 今ドキ女性のお仕事事情(4ページ目)

女性の就労支援にたずさわっていらっしゃる乾さんに、最近の女性に見られる特徴や男性の変化、そして気になる非正規社員のことなど、いろいろお聞きしてきました。

執筆者:川崎 あゆみ

それぞれ異なる「派遣」を選ぶ理由

派遣という働き方を楽しんでいる主婦の方は、とても多い反面、理不尽な職場環境に悩む人たちも。
ガイド:最近、非正規社員をめぐる働き方について、いろいろネガティブなニュースが多いですが、どのようにとらえていらっしゃいますか?

乾さん:派遣で働くスタッフの方々で2番目に多いのが、就職氷河期で卒業後希望の仕事につけなかったという方です。割合にして3割。希望する企業に就職できなかったのなら、とりあえず派遣で働こうという方ですね。派遣で働いている女性の大多数は、満足されているのですが、その中で不満を抱えている人たちは、この働き方を本意ではないという気持ちがあるのでしょう。自分はもっと働けるのに、もっと違う働き方があるのにという気持ちを持っています。そういう状態にあると、必然的に収入もついてきませんね。こういう不満が、今、世間でよく言われている非正規社員の方たちの不満として表面に出てきているのだと思います。

現に、派遣はボーナスがないからという理由で、正社員になった方も何人かいますが、実際に正社員になってみたら転勤や残業があり、思っていた働き方とは違う、続かないと言って、また派遣に戻ってくる方もいます。また女性は、ライフプランが変化しやすいので、雇用形態を固定化するのではなく、ライフプランや仕事との関わりと照らし合わせ、派遣と正社員とを上手に活用している方が多数いらっしゃいます。

ブランク後に最適な「派遣」

ブランクの後、ゆっくりスタートしたい女性にとっては、やはり派遣という働き方は、魅力的。
ガイド:実は、私も派遣で充実感を覚えながら働いている女性をたくさん見ているので、最近の派遣に対するネガティブな考えについては、とても違和感がありましたが、なるほど、そういうことだったのですね。では、最後に派遣で働くメリットをあらためてお話いただけますか。

乾さん:結婚後、専業主婦となった方にとっては専業主婦期間から、いきなり社員というのは、すごくハードルが高いですよね。派遣で少しずつ慣れていく方法も選択肢に加えてはいかがでしょうか。甘えるわけではありませんが、派遣先には、指示や確認をしてくれる人がいるわけです。そういった環境で、じょじょにステップアップすることは、復帰後の働き方として適していると思います。また、子どもに合わせた時間で生活していた主婦にとっては、毎日、定時に行くということ自体が、最初はとてもハードルが高いこと。でもそういうことの積み重ねが自信になっていく。やれるとわかってきたら、次のステップに進めばよいのではないでしょうか。

ガイド:今日は、お忙しいところ、どうもありがとうございました。



時代や世代の違いで、職業感や仕事へのスタンスは、大きく異なります。価値観の多様化や、働く理由、心構えも千差万別の女性たちのサポートは、大変なお仕事だと思います。でも乾さんの、「自信ないなんて言わないで。大丈夫ですよ」というメッセージに励まされます。1人でも多くの女性が勇気を持って1歩を踏みだせたらいいですね。

まだ東京のごく一部での支援ではありますが、これからどんどんこうした支援サービスが広がっていくことを期待したいですね。
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