篠塚さんのおっしゃる「夫との格差」、あなたは感じたことがありますか? |
夫:私=100:0 の「格差」に心がどんより
川崎:篠塚さんは、家庭内格差に悩んでいたとおっしゃっていますが、どういうことなのかお聞かせいただけますか?篠塚:先日、雑誌で家庭内格差についての特集を読んだんです。親子間、子ども間の格差についての記事だったのですが、最初は何気なく読んでいたのですが、読み進めるうちに、なんとなく私の中でもやもやしていたものが「これだったんだ」と。夫婦間の格差が存在していると気づいたのです。
川崎:篠塚さんのご主人とご自身の間に、どんな格差があることに気づいたのですか?
篠塚:端的に言うと、夫は収入があり、私にはないこと。でもそれは、単に「収入差」という言葉に置き換えられるものでもないんです。収入だけでなく、私は何も生み出していないという焦りというか……。夫が100を生み出しているとしたら、私はゼロだという気持ちが心のどこかにずっとあったのです。
川崎:失礼ですけれど、ご主人は、どのようなお仕事をしていらっしゃるのですか?また「俺が、お前たちを食べさせてやっているんだ」的な発言をする人なのでしょうか?
篠塚:夫は、金融系の仕事に就いています。収入も、世間的に「たくさんもらっている」とされる額を頂いています。ですから、生活が大変だとか、苦しいというような夫や生活への不満は全くありません。それに、「食べさせてやっている」なんていうことを口にすることもありませんし、本人にもそんな意識はないと思います。
掃除に料理は、何も生み出さない?いえいえ、それ以上に「何かをしたい」という気持ちが篠塚さんの中に芽生えてきたのでは? |
「子どもたちにまで嫉妬!」の自分に愕然
川崎:経済的に苦しい状況でもなく、夫も特に支配的というわけでもない。世間的に言うと、「何に不満があるの?」という状況だと思うのですが(笑)、「格差」だと感じるようになったきっかけが、あったのでしょうか。篠塚:本当にそうですね(笑)。直接何か「格差」だと感じるような出来事があったわけではないのです。ただ、夫に養ってもらっている自分の立場が虚しいというか。もちろん、私が今から仕事を始めても、自分で生活していけるだけの十分な収入を得ることができるとは思っていないので、収入を得たところで「養ってもらう」という状況には変わりはないのですが、その「差」を少しでも埋められるものなら、埋めたいという気持ちです。うまく言えませんが。
実は、夫への気持ちに加えて、いつしか子ども達にまで嫉妬のような気持ちが芽生えてきたのです。
川崎:お子さんたちに対しての嫉妬ですか?どんな時にそんな風に感じるのですか?
篠塚:例えば、私が夕飯の支度をしているとします。その間に子供たちは、ピアノの練習をしたり、学校や塾の勉強をしている。つまり、何かしら自分を向上させることをしているわけです。
それが、自分が今やっている家事では、何も得られるものや、身につくものなんてないと感じていた私(本当は、そうではないということも、よくわかっているのですが)は、それがとても虚しいと感じるわけです。
私が「夕飯の支度ができたわよ」と子ども達に声をかけても、すぐにピアノの練習や勉強を切り上げられないことも、よくわかっています。でも、それでも3分、5分経っても、食卓につかない子ども達にイライラして、「あなたたちは、いいわよね!自分の好きなこととか、自分に役に立つことができて。私は、やりたくもない家事を仕方なくやっているのに」と子どもに当たってしまう。
ついに中学1年生の娘が、「お母さん、何をそんなに焦っているの?」と私に聞く始末です。その冷静さが、また私をイライラさせる(笑)。
川崎:その焦る気持ち、わかる気がします。向上心が旺盛だったり、「まだ、私はこのままで終わりたくない」という気持ちが強いから、そのような焦りを感じるのだと思うのですが、お子さんたちに当たってしまうのは、良くないですね。
篠塚:自分でもよくわかっているんです。それで、働きに出ようと思ったんです。
川崎:ご主人との収入格差に対するもやもや感や焦る気持ちは、働くことで、解消あるいは軽減されると感じましたか?
篠塚:そうですね。収入を得るというよりは、何か自分が向上できて、加えて収入が得られるという点で、「仕事をしよう」ということが、真っ先に浮かびました。
川崎:今回のお仕事再開は、金融関係でお仕事を探したとのことですが、そのお仕事を選んだ理由はありますか?
篠塚:以前に、証券会社で働いていたことがあったのです。FP(ファイナンシャルプランナー)の資格も持っていましたし、仕事を再開するなら、この業界でと思って、ずっと情報収集などはしていたのです。FPの資格を活かせるわけでないのですが、今は会計事務所で週3日、パートタイムとして勤務しています。
こうして約10年ぶりにパートタイマーとして仕事を始めた篠塚さん。心の中でくすぶっていた、夫婦の間の格差は、働き始めたことで埋められたのでしょうか?!次ページへ>>