マイホーム購入は男子一生の仕事 |
しかし、現実はどうでしょうか? 借りたくても借りられない人は少なくありません。経済大国といわれて久しい日本で、「生活の基盤」であるマイホームを誰もが自由に手に入れられない現実が、今もって平然と続いているのです。一体、どうしてなのでしょうか? そこには「貸し手の理論」が存在し、消費者を『選別』する構図が隠れていました。そこで今回、金融機関が住宅ローンを貸したくなる人の共通点(=住宅ローンの審査基準)を探ってみました。住宅ローンに愛されるオトナになるためのノウハウを一挙大公開です。
住宅ローンの審査には「表」と「裏」が存在していた
まずは、金融機関が一般に公表している融資条件から見ていきましょう。主な内容は以下の通りです。
- 申込み時の年齢が20歳以上~70歳未満。さらに完済時の年齢が80歳未満
- 安定した収入があり、返済負担率(他に借入れがあれば合計して)が25%~40%程度に収まる
- 勤続年数(自営の方は開業年数)が3年以上
- 生命保険会社の団体信用生命保険に加入が認められる
- 保証会社の保証を受けられる
しかし、そこには「本音」と「建前」が存在していました。古いデータではありますが、(社)住宅生産団体連合会が2001年8月、住宅融資における選別化の実態についての調査を行なっています。その結果は以下の通りで、アンケートからは生々しい実態が浮き彫りになりました。
自営業のため | 10.6% |
担保不足 | 10.6% |
勤続年数や転勤のため | 10.1% |
消費者金融や公共料金の引き落し事故歴がある | 8.1% |
勤務先が中小企業 | 5.5% |
前述した住宅ローンの融資条件には、雇用形態(非正規・自営など)についても勤務先の規模(大手・零細など)についても記載がありませんでした。にもかかわらず融資選別されているのは、「非公開」な融資基準が金融機関内に存在しているからに他なりません。「企業秘密」という言葉で片付けられてしまう、“聖域”の基準が存在するのです。
そして、この「貸し手の理論」によって消費者はマイホーム取得の権利を奪われかねない事態に直面しています。「審査してみないと判断できない」ような仕組みでは困るのです。この点、金融機関には配慮が必要といえるでしょう。
では、審査の“実態”はどうなっているのか? 次ページで詳しく見ていくことにしましょう。