制約の中での「工夫」を見ている
という厳しい声も
「面接時のファッションも採否を大きく左右する要素のひとつ」と話す人事担当者・Aさんに、面接ファッションについてお話しをうかがいました。
「仕事は、いろいろな制約の中でアイディアを出し、それを実行していくもの。面接に着ていく服を選ぶ作業は、それとまったく同じだと思うのです。
この場合の制約は、面接はプライベートな場面ではなく、ビジネスという公式の場であるということ。まず、これを理解できていると思われる服装でなければ評価はできません。
そして、その制約の中でどんな工夫をしてきたかを見ます。
例えば転職者の場合、前職が制服のある職場で働いていたのであれば、仕事用の服を持ち合わせていない可能性も少なくありません。ですから、その状態のなかで何をチョイスしてきたかがポイントになります。
また、私服の職場で働いてきた人であれば、その服装から、その人の職場での服装の感覚を知ることができます。
制約のなかで工夫するという点では、『スーツはご遠慮下さい』と案内しているのに、特別な理由なくスーツを着てくる人も評価できませんね」
Aさんはこう言います。
「与えられた環境の中でどれだけ頭を使えるか、が重要なのです」
今までに、こんな応募者Bさんがいたそうです。
新卒者を対象にした会社説明会の際。
Aさんは出席を希望する学生全員に、「スーツはご遠慮下さい」と案内しました。
しかし、Bさんは同じ日に他社の説明会に参加する予定があり、そちらはスーツで出席しなければならない。
説明会の開催時間から考えて、途中で着替えている余裕はありません。
そこで彼女がとった行動は…。
なんと、スーツの上に、優しい花柄のブラウスを着て説明会に臨んだのです。
「これは、与えられた条件の中で彼女が考えに考えて出した結論。スーツの上にブラウスを着てくることがいいか悪いかではなく、そのプロセスが評価に値すると考えます」
私自身も面接ファッションについてよく質問を受けますが、正直言って、これが正解という絶対的な服装をお話しすることはできません。
言えるとしたら、「応募する会社で働くにふさわしい服装」ということ。
そう話すと、「その会社にふさわしい服装なんてわからない」と言う人がいますが、出勤時間などにその会社の近くに行けば、通勤している人の服装から何か感じ取ることもできるはず。
五感を働かせてみてください。