「1を聞いて10を知る」ということわざがありますが、なにか新しいことに取り組むとき、非常に飲み込みの早い人と、なかなか要領がつかめない人がいます。
その違いはどこにあるのか。
経営者・管理職の話から探ってみたいと思います。
事例1. 電話応対
まずは初歩の初歩。新人の段階で差が出る事例を紹介しましょう。
A社では、外出中の営業スタッフあてに電話が入った場合は、
「こちらから折り返しお電話させますので、念のため、ご連絡先をお教え下さい」
と対応し、営業スタッフの携帯電話に連絡を入れることになっています。
しかし、この春、入社したBさんは、折り返しの電話番号を営業スタッフへ伝えられないことがたびたびあります。
頻繁にやりとりしている取引先であれば外出していても連絡先がわかるので支障はないのですが、相手によっては外出先では電話番号がわからないことがあり、営業スタッフはイライラ!
時には、外出中の営業スタッフから怒鳴られることもあるそうです。
Bさん曰く
「これまでにも電話を取ったことがある人なので、何度も電話番号を聞くのは失礼かと思って…」
この事例について上司はこうコメントしています。
「正直言って、この件を聞いたときは頭を抱えました。皆さんわかると思いますが、ここで大切なのは、外出している営業スタッフがすぐ折り返しの電話をできるようにサポートすること。相手の電話番号を聞く行為が重要なのではありません。
何度も電話がかかってきている相手なら、相手に聞かなくても番号は自分がわかっているはず。それを伝えればいいのです。会社にはいろいろはルールがありますが、何を目的をしたルールなのかを考えてほしいですね」
事例2. 企画立案
企画提案型の営業をするCさんは営業歴5年。商品知識も十分身につき、営業力もアップしてきたはずなのに、ここのところなかなか営業成績が上がりません。
先日もこんなことがありました。
営業企画部から営業の成功事例が発表され、Cさんはさっそくそれを参考にして自分のお客さんにプレゼンテーションしたのです。
しかし、話を聞き終わるやいなや、先方担当者は「ウチではこれは無理ですね」と一言。
「どうしてですか?」とCさん。
「どうしてって、あなた。ウチの会社の規模がどれだけのものかわかってるでしょ」
Cさんが参考にした成功事例は大手企業向けの提案であり、スケールメリットを生かしてこその内容。
それを彼女は、成功事例に対して売上高で言えば100分の1にも満たない中小企業に提案してしまったのです。
この件についても、上司の方にコメントをいただきました。
「彼女は、成功事例の『形』だけを見て、お客さんを見ていなかったのですね。
成功事例には、必ず条件があります。Aというお客さんだからBという企画が成功する。お客さんが変われば、成功する企画も変わります。彼女はそこを見落としていたと言えるでしょう」