住宅ローン減税の還付対象に「住民税」が追加される公算が高まる |
しかし、その恩恵を享受するには住宅ローン減税の適用条件をすべて満たさなければなりません。制度の仕組みが理解しにくいのか、「自分の場合はどうなの?」といった質問が、私、ガイドのところにも来ています。そこで、今回は相談事例をもとに、陥りやすい注意点を紹介することにします。お心当たりの方は、参考にしてみてください。
(注)以下の内容は、2008年度税制をもとにした回答例です。
突然の転勤で、引き続き12月31日まで住んでいられない!
その相談は、以下のような内容でした。
現在、私(夫)と妻、子供の3人暮らしです。昨年(2007年)、新築マンションの売買契約を済ませ、今年(2008年)の3月末に引き渡しを受けました。そして、すぐに家族全員で引っ越し、スイートホームでの生活を始めました。しかし、6月に会社から突然の転勤命令(国内)が出され、家族全員で転勤先へ引っ越さなければならなくなりました。その間、新居は空室の状態です。
その後、子供の学校のこともあり、8月末に妻子だけは自宅へ戻ることができたのですが、転勤そのものは解除されないため、私1人だけが単身赴任という形で別居している状態です。そして、今年(2008年)の年末まで、この状態(単身赴任)は変わらない予定です。
住宅ローン減税の適用条件の1つに、「取得後6カ月以内に入居し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること」とありますが、私たちの場合は「誰も住んでいない期間」が2カ月間できてしまいました。「引き続き住んでいる」という条件を満たさなくなるため、減税は受けられなくなってしまうのでしょうか? ご回答をお願いします。
取得後6カ月以内なら「未入居期間」があっても大丈夫
企業戦士ゆえの“性”(さが)と言ってしまえばそれまでですが、本人にとっては切実な問題です。はたして、住宅ローン減税は受けられるのでしょうか? 結論を先に言ってしまうと、ご安心ください。減税は受けられます。
「その年の12月31日まで“引き続き”住んでいること」とあるため、「引き続き」=「途切れなく」と解釈し、2カ月間の未入居期間が発生したことを心配したのでしょう。確かに、お気持ちはよく分かります。決して、間違った解釈ではありません。
今回は、未入居期間の発生が取得後6カ月以内だったことが奏功しました。住宅ローン減税の適用条件をもう一度見てみましょう。
「取得後6カ月以内に入居し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること」
とあり、
「一度入居したら、その年の12月31日まで引き続き住んでいなければならない」
とは書かれていません。取得後6カ月以内に入居さえすれば、たとえそれ以前に未入居期間があったとしても、問題にはならない――ということです。未入居期間が存在したのは事実ですが、取得後6カ月以内に奥さんとお子さんは入居して年末まで住み続けるわけですから、税解釈上、「引き続き入居している」という条件に反れることにはなりません。
国内転勤の場合、ご主人が単身赴任しても、ご家族が新居に残っていれば「ご主人も住んでいるもの」とみなしてくれるようになっています。「ご主人は12月31日まで住んでいないではないか?」と疑問に思った方は、このルールを思い出しましょう。6カ月を過ぎてしまうと対象外になってしまうのですが、本ケースは6カ月以内だったため、適用条件をクリアすることができました。
以下に、確定申告に関するコラムもまとめてみました。事前準備の参考にしていただければ光栄です。
【住宅ローン減税2009年 確定申告に関する記事】
「住宅ローン減税」確定申告09年/適用条件
「住宅ローン減税」確定申告09年/必要書類
「住宅ローン減税」確定申告09年/リフォーム
「住宅ローン減税」確定申告09年/申告書の記入方法
【NEW】意外と勘違いしやすい「住宅ローン減税」の盲点
「住宅ローン減税」09年 ケース別 還付額一覧(1)/単身世帯など
「住宅ローン減税」09年 ケース別 還付額一覧(2)/扶養家族あり
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