2. 転職の難しさ、主婦のパート感覚になじめず、悩んだ30歳前後
--ゆっくりした生活は楽しかった?
「楽しかったけど、すぐに不安を感じるようになりましたね。よく考えたら、私は幼稚園に入ってからずっとどこかに所属してきたわけで、どこにも属していないという状態になって、世間から取り残されていくように感じたんです」
--それで派遣会社に登録を?
「最初は、知人の誘いで契約社員として働きました。でも、景気が悪くなってそこの部署がなくなり、私も辞めることに。その後、正社員として働こうと思って活動しましたが、これがけっこう難しかった。年齢も30歳になってたし・・・。それに、自分としては営業はいやだったけど、営業しかできない。そんな私がどんな仕事ができるかもわからなかったから、それなら派遣会社に行って聞いてみようかと」
--仕事はすぐに紹介されました?
「そうですね。紹介されたのはメーカーの採用アシスタントという仕事。初めて制服着て働きました(笑)」
--派遣の仕事はどうでした?
「派遣では単発も含めて4社経験して、どれも楽しかったですよ。ただ、ある会社で、既婚、子どもなしという派遣スタッフと一緒に働く機会あって、その時にちょっと考えることがあったんです。『今日の晩ご飯どうする?』とか『お姑さんがさあ・・・』といういわゆる主婦の会話が自分にはどうもしっくりこなかった。その時、自分はこういう感覚で働くのは違うのかなと思いましたね」
--その後、正社員になったきっかけは?
「派遣会社の人が、その会社の契約社員にならないかと声をかけてくださり、契約社員としてしばらく働いた後、正社員になりました」
自分に合った働き方を模索していた千里さんに契約社員の声がかかったのはラッキーだったかもしれませんが、それも彼女の働きぶりが認められてのこと。彼女は自分の力で次のステップへと進んでいったと言えるでしょう。