長きにわたった景気低迷期から新たな時代に入ろうとしている今、仕事を持つ女性たちは何を考え、どう日々を過ごしているのか。そんな素朴な疑問を、多くの女性の本音を知る『日経ウーマン』編集長・野村浩子さんに伺ってみました。
理想は、家庭と仕事を無理なく両立できること
現実は「そこそこ満足」の日々
プロフィール:野村浩子(のむらひろこ)お茶の水女子大学文教育学部卒業。88年に日経ホーム出版社に入社し、ビジネスマン向け月刊誌『日経アントロポス』の創刊チームに加わる。95年『日経ウーマン』編集部に異動。副編集長となる。2003年1月より現職。著書に、『働く女性の24時間』(日本経済新聞社刊) |
野村編集長:日経ウーマン読者への調査結果ですが、7~8割の人が、北欧型のライフスタイルを理想としています。北欧型とは、家庭と仕事を無理なく両立できるという生活。家事に協力的な夫がいて、息長く仕事を続けるというイメージのようです。
泉:「無理なく」がポイントのようですね。では、それに対して現実はどうなのでしょうか。
野村編集長:ここのところ増えていると感じるのは、今の生活に大きな不満はないけれど、とっても満足しているわけでもないという人。もう少しやればできる、もっと向いている仕事もあると思うけれど、安定している今を捨ててまで一歩を踏み出す勇気がない。上手にブレーキをかけてバランスを取っていると感じます。
泉:以前は、「仕事で自己実現したい。そのために頑張る」という人もけっこういたように感じますが、なぜ、ブレーキ上手な人が増えてきているのでしょうか。
野村編集長:90年代前半は幻想を見ることができました。「仕事で自己実現したい。できる」と思える時代だったから、夢見がちな人が多かったんです。でも、バブル崩壊後、経済的に一生安泰とは思えない時代になり、皆、仕事観が現実的になってきた。ここ数年、それがとくにリアルになってきたように思います。
泉:それだけ世の中が厳しくなってきたということですね。
野村編集長:厳しい現実のなかで頑張ることに、「疲れちゃう」と思うのでしょう。だから、折り合いをつけながら息長く働くというイメージになるんです。
次ページでは、野村編集長から今のキャリア女性へのメッセージをいただきます。