ケガや病気の回復が長引いたらどうなる?
労働災害として認定された病気やケガで休業している間は、療養のために休業する必要があると医師が証明する限り、会社はその社員を解雇することはできません。出勤可能になってから30日間も同様です。これに対して、労災以外の私傷病による場合には、就業規則などで定められている休職期間が満了になったあともなお仕事に復帰できる状況にないとなると、就業規則の解雇事由に基づき、解雇されたり、自然退職となるのがふつうです。会社が営利事業を営んでいる以上、働けない者を雇用し続けることには無理があるということで、このような処置も認められています。
ただし、私傷病の場合で、以前の仕事に復帰するのは困難としても、より軽易な業務であれば従事できるという状況があるときには、会社に配置転換を考えてもらえる可能性はあります。受け入れられるかどうかは会社の温情次第ですが、もし、会社に残れたとしても、賃金その他の条件が下がることは避けられないでしょう。
災害を防止するための対策こそが大事
さて、労災は、病気やケガという災害が発生してしまったあとの事後策ということになりますが、もっと大事なことは、そんな労働災害が発生しないよう、会社も社員一人ひとりが心がけることです。とくに、会社に対しては、年1回定期的に健康診断を実施することが義務づけられているほか、従業員50人以上の会社では、衛生教育その他健康増進のための専門的指導や助言、病気が発生したときの原因調査と再発防止にあたる産業医を置くことが義務づけられています。
また、従業員50人以上の建設業や製造業では安全管理者を、それ以外のすべての業種でも社員の中から衛生管理者を選任し、社内の安全管理や衛生管理にあたるよう義務づけてもいます。
現実には、健康診断すら実施されない会社もあったり、安全管理者や衛生管理者の制度がほとんど意味をなしていない会社もあったりしますので、改めて、会社の態勢を問いかけてみることも必要でしょう。もちろん、転職先として会社を選ぶ際にも、このような安全衛生・衛生管理意識が徹底されているかどうかを、可能な限り調べておくべきでしょう。
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