上司の、上司たる能力チェックが必須
「心の病」にかかって不利益を被るのは、社員個人だけでなく会社も同じです。そこで、企業としては、管理監督者に対して、職場の安全配慮義務を担う管理者としての教育に取り組むところが多くなっています。管理者に対して、メンタルヘルスの重要性や具体的な部下への指示の出し方、対処の仕方などをレクチャーするわけです。しかし、管理者個々の意識や能力には個人差があって、部下の気持ちをうまく汲み取れる管理者がいる一方で、それができない管理者もいます。ストレスの負荷の大小でいえば、部下のしでかしたことは全部責任をとってくれる上司と、責任逃れする上司の差ということになるでしょうか。
仕事の指導もできないくせに責任逃れする上司、これが最悪ですが、部下の立場からは、こういう人の意識を変えさせることはまずできるものではありません。もし、こういう最悪のパターンの上司がいて、当分、人事異動などで環境改善が見込めないというのであれば、サッサと見切りをつけて、新しい勤め先に移るのが得策だったりします。
また、転職先として会社を選ぶ際には、その会社のメンタルヘルスに関する考え方、具体的な取り組みを聞くだけでなく、採用された場合の配属先の直属の上司がどういう人なのかをチェックする必要もあります。人事面接、あるいはその後の役員面接で内定をもらえたとしても、それで納得せず、配属予定先の上司本人か、同僚となる予定の社員との面談を要求するなどの慎重さも必要といえるでしょう。
落ち込む前に、自分なりの対処も大事
以前、心理学の専門の先生に伺ったことですが、元気がないオチコミの状態にも、憂うつ症型、心配性型、心身症型、非行少年型の4つのタイプがあるのだそうです。このうち、憂うつ症型に分類されるのは、几帳面で責任感が強く真面目、仕事に一所懸命に取り組むと同時に、人づきあいの点では誰とでも仲良くしようとする傾向がある人だとか。人との和を重視し、義理堅いから他人の悩みまで引き受けて、息つく暇もないほどの超多忙人間になっていることが多い。また、一人でいることを好まないために、いつも緊張していて、休もうとしてもじっとしていられなくて、遊びでもくそまじめ(失礼)に、仕事とつながった遊びを好みがち。金銭的にも潔癖性があって、浪費を嫌う。端から見ると、「けっこういいヤツ」ということになりますが、本人は、それだけ周囲に気遣っているために、ストレスをため込みやすくなるともいえます。
で、このタイプの人にとってオチコミを防止する一番の方法は、何もしないで頭を空っぽにした状態でひたすら休養をとること。そうはいっても、じっとしていられないのがこのタイプの人ですから、もし、人に合って話しをするなら、馬鹿話ができるチャランポランな人を相手にすること。また、本や映画ならシリアスものよりも笑えるマンガやコメディもの、音楽は歌詞のないストリングスもの(歌詞があると、その意味を追っかけてしまうので)を選ぶのがいいようです。
また、オチコミが進行すると食欲不振に陥りがちですので、スポーツでおなかをすかせることで食欲を回復することも考えましょう。ただ、ジョギングでは走っている間にも頭では仕事のことから離れられないといったことになりがちですから、やるなら相手が必要なスポーツ。大勢でやるとまたみんなに気を遣ってしますので、気の合う友達1人いればすむテニスや卓球などがいいでしょう。
お金も貯め込んでばかりいないで、「たまにはババーンと!」高級レストランで散財するとかいったことも実行してみましょう。見た目にもおいしそうな食事が並べば、食欲も増すのではないでしょうか。
▼関連リンク
・「メンタルタフネス」を鍛えよう [All About 仕事に活かせる資格]
・ただのブルー?それともうつ病? [All About 心の病気]
・躁うつの治療の話 [All About 心の病気]
・笑顔は毒にもクスリにもなる! [All About ストレス]