Q:切りがいいからと12日働いたあとで解雇された
会社の業績悪化に伴い、相次いで5人ほどが解雇を通告されました。それはともかく、通告された時点で残っている仕事が終わるまで12日間引き続き働き、仕事が終了した翌日、解雇手当として18日分のお金を支払うというのです。予告手当は30日分以上と決まっているのではないんですか。A:予告手当分の日数は予告日数を短縮できる
即日解雇の場合、30日分以上の平均賃金を予告手当として支払わなければならないことは一般的によく知られていることですが、仮に予告の日数を短縮するときは、短縮日数分の平均賃金を手当として支払えばいいことになっています。つまり、予告と予告手当を併用することも認められるわけです。
あなた場合、予告手当なしだと解雇の効力は解雇を予告された日の翌日から30日後に発生することになりますが、18日分については予告手当として平均賃金を支払うとのことですのでその分は予告日数を短縮でき、予告の翌日から12日間が過ぎた時点で解雇の効力が発生することになります。法的にはなんら問題のない措置といえるでしょう。
ところで、解雇の撤回あるいは解雇手続きの不備を訴える目的で、労働者が予告手当の受領を拒否するケースはまま見受けられますが、この場合、使用者は、労働者が受け取ろうと思えば直ちに受け取れる状態にしておけば足りるとされています。
また、場合によっては、会社が法務局に供託して、予告手当を支払ったとみなす手段をとるようなことがあれば、手当を受け取ってはいないことで解雇処分を承諾していないことを主張するのは、難しいといわざるをえません。
Q:週に3日のアルバイトの場合、予告手当の計算は?
求職活動と並行して、スーパーで週3日、時給制のアルバイトをしています。しかし、その店が売り場を縮小することになり、一部のスタッフは解雇をいい渡されました。即時解雇の場合、30日分の給料が手当としてもらえると聞きましたが、週3日のアルバイトでも30日分もらえるものなのでしょうか。A:実際に労働してもらえる賃金をもとに計算
30日以上前の解雇予告を短縮する場合に支給される解雇予告手当は、原則として直近の賃金締め切り日からさかのぼって3カ月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日)で割った金額を平均賃金として計算されます。ですから、あなたのように週に3日労働の人の場合、解雇予告手当として、平均して、賃金の30日分がもらえるというわけです。
ただし、あなたのように賃金を時給もしくは日給でもらっている場合は、もらった賃金の総額をその期間中に実際に労働した日数で割った金額の6割と、先述の計算で得た金額とを比較して、いずれか多い方の額面を平均賃金とすることになります。
つまり、週3日勤務なので、暦日で割った金額ではなく、
(過去3カ月間の賃金総額÷過去3カ月間の実労働日数×0.6×30日)
の計算式で算出された額と比較してみることになります。
Q:年俸制でも即日解雇の場合の手当は1カ月分?
年俸制社員としてレストランの店長職にありましたが、会社のリストラで即日解雇されました。会社からは、予告手当として給与1カ月分を支給されましたが、年俸制社員でも一般の社員と同等というのが解せません。A:予告手当は1カ月分だが民法上は別途請求も可
労働基準法の解雇予告と予告手当に関する規定は、一般の労働者のほか、契約社員、準社員、パートタイマー、アルバイトなど呼称を問わず適用されています。また、年俸制の社員を解雇する場合であっても同様に扱われます。よって、年俸制社員でも、即時解雇の場合は、1カ月分の平均賃金を受け取る権利があります。
一方、民法第627条第3項では、「6カ月以上の期間を以て報酬を定めている場合」は、この契約を解除するときは3カ月前に申し出る旨を規定しています。その解約の申し入れが、リストラなど使用者側の一方的なもので、当事者の合意による解約でなければ、3カ月分の給与を民事上の損害賠償として請求することが可能です。
なお、年俸制社員の場合は、あらかじめ確定した年俸額の支払方法として、年俸を12分の1以上の数で割り、月々の給与として支払った残りを賞与として支払うケースが少なくありません。この場合の賞与は、金額がすでに確定しているので、賞与相当分を12等分し、そのうち既経過月数分については、賞与支給日に在籍していなくても支給されるべきと理解していいでしょう。