Q:予告を受けて出社拒否。予告手当はもらえるか
会社から1カ月後の日を指定されたうえで、辞めてほしいとの通告を受け、ショックでその翌日から出社を拒否。しばらくして、改めて手紙で解雇通知を受けました。解雇の場合には予告手当というものがあると聞きましたが、今からでも請求できますか。A:会社による即時解雇でなければもらえない
会社から1カ月後の解雇の通知を受け、その翌日から出社しなかったとのこと。この場合、残念ながらあなたに予告手当を請求する権利はありません。会社は1カ月後の労働契約の解除を予告していますので、解雇予告手当の支払い義務はないのです。
それなら、解雇の予告通知を受けたあとの1カ月間は社員として給料をもらう権利があるとお考えかもしれませんが、この場合も、「ノーワーク・ノーペイ」の原則を適用すれば、会社側に賃金支払いの義務は生じません。
また、もし、会社の就業規則に「正当な理由なく2週間以上継続して無断欠勤したときには懲戒解雇する」といった規定があれば、この規定に基づき懲戒解雇処分ともなります。解雇がこのような労働者の責に帰すべき事由によって生じた場合であって、所轄の労働基準監督署に予告手当の除外認定を受けたときは、使用者には解雇について予告もしくは予告手当の支払い義務はないとされています。
Q:予告していたからと手当なしで解雇に
営業職に従事していますが、成績があまり芳しくなく、2カ月ほど前には「今度ノルマを果たせなかったら解雇する」といわれました。結局、先月の成績も悪くて結果が出たその日に解雇されたのですが、前もって予告していたのだから予告手当もなしとのこと。納得するしかないのでしょうか。
A:時期を明示しない解雇予告は無効
結論からいうと、あなたのケースにおける解雇予告は、労働基準法でいう解雇予告には該当しません。よって、あなたは解雇を言い渡された時点で、少なくとも30日分の平均賃金を予告手当として受け取る権利があります。
労働基準法では、解雇通告は解雇の日を明確に示して行う必要があるとされています。1月いっぱいで解雇する場合なら、「1月31日をもって解雇する」あるいは「1月末日をもって解雇する」など、解雇の日が特定できるものでなければ、その効力はないとされているのです。
仕事上ミスを犯した際、「今度同じミスをしたらその時点で辞めてもらう」などといった会話がなされてしまうことはありますが、このような解雇の日を特定できない表現では、それをもって解雇を予告したということにはなりません。
結果的に再び同じようなミスをしてしまったり、成績が伸びなかったなどの理由で突然解雇されこともあるでしょう。その場合は、予告そのものがなされていないと解釈されますから、会社側は、即日解雇をいい渡したものとして、働く側に予告手当を支払う義務が発生することになります。
Q:もういらないとアルバイト先をクビになった
昨年9月からアルバイトとして勤務してきた会社から、一緒に働いていた社員2人とともにクビをいい渡されました。ところで、社員だった2人には給与1カ月分のお金が支給されたのですが、ぼくは1円ももらえませんでした。アルバイトの身では文句はいえないのでしょうか。A:アルバイトでも予告手当を受け取る権利がある
アルバイトやパート社員であっても、労働基準法で決められた基本的な権利は正社員となんら変わりはありません。よって、会社が解雇するとき解雇の30日前に予告するか、即日解雇の場合は平均賃金の30日分に相当するお金を「予告手当」として支払わなければならないのです。
また、一般的には就業規則で、パートやアルバイト社員には退職金を支給しないと定めている企業が多いのですが、もし、あなたが正社員と同じ就業規則を適用されていて、そこに退職金の支給規定があり、あなたが支給を受けるための条件(勤務年数など)を満たしている場合には、退職金を受け取る権利もあります。
あなたに権利がある場合、正社員2人には予告手当や退職金が支払われたのに、アルバイト社員だったあなたには支払わないというのは、明らかに法令や就業規則違反です。泣き寝入りせずに支払いの請求をしましょう。
なお、例外として次のような場合には、解雇の予告や予告に代わる予告手当の支給はなくてもいいことになっています。
1: 2カ月以内の期間で、「その間だけ」の契約で働いた場合(1週間の市場調査アルバイト)など
2: 季節的な仕事で、4カ月以内の期間の契約をした場合(スキー場のインストラクターなど)
3: 試用期間を設ける場合で、それが始まって14日以内
4: 日々雇われる場合(1日ごとの契約で、始まってから1カ月以内)