A 裁量労働制で実際の労働時間を管理するのは疑問
裁量労働制は、業務の性質上、その仕事の進め方や労働時間配分を各労働者の裁量にゆだねる制度です。通常は、1日の所定労働時間とは別に、その業務を遂行するためには所定労働時間を超えて労働することが必要な場合には、労使間の協定により、その時間分を所定労働時間に加えて、1日の労働時間とみなすことになっています。また、出退勤時刻について具体的な指示を行わないのが普通ですから、たとえ昼から出社して夕方には帰宅したとしても、それで遅刻や早退が厳格に取り扱われることはないはずです。こうした制度の特質から、あなたの勤務先のように、週40時間の所定労働時間を定め、その過不足について何らかの措置をとるという対処自体、そもそも制度の趣旨から外れているといえます。
また、もしもタイムカードなどで出退勤時刻を記録し、その時刻をもとに労働時間を算出し、それを有給休暇で調整しているのであれば、もはや裁量労働制とはいえません。しかし、自由裁量とはいえ出社するかどうかまでは自由にはなりませんので、出社の記録は何らかの形で残すのが一般的です。裁量労働制であっても、欠勤した日については、その日数分の賃金を払わないとする決まりはよくあります。
Q プログラマは裁量労働制の対象にならないのか
ソフト開発会社でプログラマとして働いていますが、遅くまで残業した翌日に早出が指示されたりと、勤務時間が不規則で困っています。裁量労働制の適用を求めたいのですが、それは可能でしょうか。
A 管理されている労働者は裁量労働に該当しない
裁量労働制は、業務の性質上、その遂行方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務について、適用が認められている労働時間制の一つです。裁量労働制が適用されれば、実際の労働時間にかかわらず、別途、協定で定める時間、労働したものと見なされます。
この裁量労働制の適用が認められる業務は、専門業務型として新商品もしくは新技術の研究開発等の業務、新聞もしくは出版の事業における記事の取材もしくは編集の業務など。企画業務型として経営企画、人事・労務、財務・経理、広報などの担当部署における業務などとなっています。
プログラマの業務も、情報処理システムの分析または設計業務としてその一つに加えられていますが、適用対象となるかどうかは働き方の実態に即して決められます。
仕事の進め方から時間配分にいたるまで、使用者が指揮することが難しいというのであれば、裁量労働に該当しますが、たとえば、数人でプロジェクトチームを組んで開発業務を行っている場合で、そのチーフの管理のもとに業務遂行、時間配分が行われている人や、プロジェクト内で業務に付随する雑務だけを行う人、研究開発業務を補助する助手、プログラマなどは対象外となります。
あなたの場合、残業や早出が上長の指示によって行われているようですので、裁量労働制は適用されないことになでしょう。
Q 裁量労働制の下では休むのも自由なのか
転職を予定している出版社では、編集部員全員に裁量労働制が適用されています。この制度の下では、会社に出ないで自宅で仕事するとか、仕事を休むなどのことも自由にできると考えていいのでしょうか。
A 丸1日仕事をする、しないについての裁量権はない
裁量労働制が適用されている労働者は、実際の労働時間にかかわらず、労使協定で定めた時間だけ、労働したものと見なされます。ですから、あなたの仕事の例でいえば、業務上の必要に応じて、午前中は資料探しをして午後になってから出社す