年休の計画的付与
労働基準法第39条第5項 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
これは、年休の計画的付与を認める条文です。この条文を根拠に、会社は、労働者の過半数で組織する労働組合か過半数を代表する者との間で協定を結ぶことによって、年休の5日を超える分について、会社がその取得時季を指定できることになります。
この規定は、年休の消化率を高めることを狙って1988年の法改正で盛り込まれたもので、制度を導入している企業は全体の3割程度となっています。計画的付与制度の導入によって、会社は、たとえばゴールデンウイークや夏季休暇、年末年始休暇などの一部または全部に、社員個々人が持っている年休を当てることができることになります。消化率はアップするかもしれませんが、いつの間にか年休がなくなっているということにもなりかねませんので、職場に計画年休が導入されているかどうかは要注意です。
不利益扱いの禁止
残念ながら、年休の権利を行使せず、残せば残すほど勤勉と評価される風潮がまだまだ残っているようです。会社によっては、年休の取得割合をボーナスの査定に加えたり、精皆勤手当支給の対象除外とするなど、直接的に金銭上の不利益な扱いをするケースも見受けられます。
しかし、労働基準法は、年次有給休暇を取得したことによる賃金その他不利益な扱いを禁じています。年休を取ったらその分給料やボーナスが減らされるというのでは、年休取得を控えようという空気が生まれることにつながるからです。
会社の直接的な不利益扱いがあっても、それを覚悟の上で休みを取ることはできますが、「休みたいのに休めない」という人の中には、年休をとって休むと周囲の目が怖いという声も強いのです。会社の対応がどうこうという以前に、働く私たち一人ひとりが「年休は労働者の当然の権利」として認識を改める必要があるのかも知れません。
関連リンク
年休に関するQ&A編(vol.1)
年休に関するQ&A編(vol.2)
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