家族も利用できる継続療養給付制度
退職の日以前に1年以上継続して健康保険に加入していた人で、退職日以前から医者にかかって治療を続けている病気やケガがある場合は、いままでどおりの保険をそのまま適用してもらえる継続療養給付制度を利用することができます。病気やケガの初診の日から5年以内であれば、保険料を納める必要はないというありがたい制度です。
ところで、この継続療養給付制度は、健康保険の加入者本人だけでなく、家族にも適用されるということを知らない人が少なくないようです。自分はいたって健康という人でも、子供が歯医者に通っているとか、アトピーなどで月に1回程度医者に診てもらっているというのであれば、ぜひこの制度を活用しましょう。
手続きするためには、会社の所在地を管轄する社会保険事務所または健保組合事務所に備え付けの「継続療養給付支給申請書」をもらい、かかりつけの医者の証明を受けた上で、各事務所に提出します。手続き期限は退職の日の翌日から10日以内。自分でも手続きできますが、退職日までに医師の証明をもらっておけば、あとは会社が社会保険事務所に提出してくれます。
ただ、この制度は医者に証明してもらった病気やケガ以外には適用されません。また、それまでの保険を任意で継続する制度(任意継続被保険者制度)との併用もできません。したがって、この制度をと要する場合には、必ず国民健康保険に加入し直すことが条件となります。
生命保険は解約せずに契約者貸付を利用
生命保険は、万一に備えてのこととはいえ、失業してしまった場合、保険料負担が大きくて解約したくなるものですが、いざというのためにも極力契約を継続することを勧めます。というのも、契約を続けていれば、その時点で解約したとした場合の払戻金の90%までお金が借りられる「契約者貸付金制度」を利用できるからです。
この制度を利用できるのは、養老保険か終身保険に加入している人。もともと自分が積み立ててきたお金ですから、使用目的も収入条件も問われません。失業していてもお金を貸してくれる唯一のものといっていいでしょう。
借入金ですから利息がつきますが、利息分だけを支払って、元本は返さなくてかまいません。返さなかった分は、将来保険の満期になって払い戻しを受ける額がその分減らされるだけです。
手続きは、預金口座のある銀行の届け出印、健康保険証など住所、氏名を確認できる書類、生命保険証をもって各社の融資窓口に加入者本人が出向き、申し込みを行います。90%相当額全部を一度に借り入れるのではなく、専用のカードを作ってもらって、必要なときに数回に分けて借り入れすることも可能です。
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