社会ニュース/よくわかる時事問題

雇用不安爆発! 「2009年問題」とは?(3ページ目)

「派遣切り」「内定切り」が横行する中、3月までに9万人近い非正規労働者が失業! 景気悪化を受け、雇用不安が高まる中で懸念されているのが、今後発生する「2009年問題」です。一体、どんな問題なの?

執筆者:志田 玲子

正規と非正規のアンフェアな格差解消が肝心!

画像の代替
今年の干支は丑(うし)。でも、国の雇用対策が、「鈍重」な歩みを続けるのは困る……
写真提供:丑2009【無料で使える牛の写真100枚/年賀状ハガキサイズ/著作権フリー】
1ページで見たOECDの報告書は、以下のような主旨の提言を行っています。
■賃金や社会保障の差別など、正規労働者と非正規労働者の格差を是正すると共に、職業訓練制度を充実させること

現状では、同じ仕事をする正社員と比べ、派遣やパートなどの給料・ボーナスは、低く抑えられています。その証拠に、企業は非正規雇用を増やす理由の筆頭に、「賃金節約」(約4割)を挙げています(厚生労働省の「就業形態の多様化に関する実態調査」、2008年11月)。

しかし、賃金は本来、その労働者がどんな価値を生み出したかで決めるべきるもの。仕事内容にかかわらず、パートだから一律いくらという決め方は、同じ仕事をする=価値を生み出す社員と比べ、不公平とのそしりを免れません。つまり、「同一価値労働・同一賃金」の原則にのっとり、正規雇用と非正規雇用のアンフェアな賃金格差を解消することが不可欠!

企業は、正規雇用への登用チャンスを増やせ!

一方、「2009年問題」による大量失業の発生が予想される以上、雇用保険(失業保険)を初めとしたセーフティ・ネット(安全網)を充実させ、失業した時に被る痛手を軽くする対策も、急務です。この点について、政府が通常国会に出す2008年度・第2次補正予算案などでは、非正規労働者の保険加入や受給の条件が緩和されるほか、受給期間も、一定の条件の下で延長される見込み。遅まきながらの対策ではありますが、国も、問題の深刻さにようやく気がつき出した模様……。

同時に、企業側には、非正規から正規へ登用するチャンスを拡大し、「再チャレンジ」可能な仕組みづくりに励んで欲しいものです。

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