文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
2004年3月期決算がもうすぐ発表になります。昨年に比べると、少し景気の見通しや株価がよくなってきているため、今年は「3月危機」という言葉は、ほとんど聞かれませんでした。では、本当に安心できるところまで、銀行の体力は回復してきたのでしょうか?銀行の財務内容を知るツールとして「ディスクロージャー誌」があります。銀行の財務内容は、3月までの営業年度で締めた業績等を5月下旬に発表します。ディスクロージャー誌の作成期限はそれより2ヵ月ほど遅い、7月末までに銀行の本支店に据え置かれることが義務づけられています。今回は、ディスクロージャー誌のかんたんな読むべきポイントを知って、銀行選びに役立てましょう。
◆ディスクロージャー誌ってなに? ◆ディスクロージャー誌には何が書いてある? ◆ディスクロージャー誌をシロウトが上手に利用するには? ◆ディスクロージャー誌ってなに?ディスクローズ(disclose)とは、広い意味では「物事を明らかにして示す、発表する」という意味です。ディスクロージャー誌というのは、「経営内容を開示した冊子」のことです。経営内容とは具体的にどんなものでしょう?★経営方針★財務内容(財産、収支の状況)★商品・サービスの内容などです。このような経営内容を公表することは、企業経営の透明性が高まる、そして社会の目にさらされることによりより一層の経営努力が図られる、ということになります。◆なぜディスクロージャー誌が必要なのか?銀行の仕事って何でしょう?預金者からお金を預かり、それをもとに貸し出しを行なうことが基本です。その預金は、いずれ預金者に返さなければなりません。銀行は、預金者からお金を借りているわけですから、お金を貸す相手(銀行)について、詳しく知っておく必要があります。一方、銀行からお金を借りている企業なども、銀行に万が一の事があれば、事業に大きな影響を及ぼします。そのため、ディスクロージャー誌で、その銀行の内容を世の中に公表するのです。
◆ディスクロージャー誌には何が書いてある?
★経営方針今や、「銀行はみな同じ」ではないことは、皆さんもよくご存知でしょう。日本版ビッグバンという規制緩和のお陰で、銀行は新しい競争の時代に入りました。それぞれの銀行が、得意の分野・サービスを充実し、ユニークなアイディアで預金者にアピールしています。その一方で、経営の効率化を図り、リストラや合併・持ち株会社への移行などの経営統合を行なっています。このような、営業上の戦略、経営上の方針を一般向けに説明しています。★財務内容ディスクロージャー誌には、銀行法により、掲載を義務づけられている開示情報がいくつかあります。貸借対照表・損益計算書などの決算書類(ガイド記事「決算書、読めたら何が分かる?」参照)、不良債権の状況、自己資本の状況などです。これらは、その銀行の収益力や健全性の度合いなどの財務内容を知ることが出来ます。★商品・サービスの内容前述の日本版ビッグバンによる規制緩和で、銀行は新しい金融商品やサービスを提供するようになりました。以前は証券会社のみで取り扱っていた投資信託、保険会社で扱っていた保険商品の一部を銀行の窓口で販売しています。サービス面でも、ATMの取引時間の延長やインターネット取引の拡大なども展開しています。このような、商品やサービスの情報もディスクロージャー誌に掲載し、預金者が自分のニーズにあった商品やサービスを選び易いように公表しています。◆ディスクロージャー誌はどこで見ることができる?銀行の本支店に備え付けることが、銀行法で義務づけられています。また、ホームページ上でもほとんどの銀行が公表しています。銀行の財務内容は、3月までの営業年度で締めた決算を5月下旬に発表します。ディスクロージャー誌の作成期限はそれより2ヵ月ほど遅い、7月末までに作成されます。最近の情報開示を求める風潮を受けて、中間期(主に9月、年度の半年分)や四半期(年度の4分の1、3か月分)ごとについても、公表している銀行も多いようです。次のページでは、ディスクロージャー誌を、どのように、銀行選びに活用すればよいのかのポイントをお伝えします。