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これを見れば、危ない銀行がわかる(2ページ目)

2004年3月期決算がもうすぐ発表になります。銀行の財務内容を知るツールとして「ディスクロージャー誌」があります。ディスクロージャー誌のかんたんな読むべきポイントを知って、銀行選びに役立てましょう。

執筆者:石原 敬子

◆ディスクロージャー誌をシロウトが上手に利用するには?特にディスクロージャー誌の中で関心の高い「財務内容」について詳しく説明したいと思います。★収益性について~「業務純益」「利ざや」「経費率」に注目!「業務純益」銀行本来の業務によって稼いだ利益「利ざや」貸出金利-預金金利=利ざや。銀行の収益構造の中でも非常に大きな役割を担っています。「経費率」どれだけ効率的な経営をしているか。いかに少ない経費で大きな収益をあげているか。の指標です。★健全性について~「自己資本比率」「不良債権残高」に注目!「自己資本比率」万が一の時に貸し倒れになる可能性のある資産をリスクアセットと呼びます。このリスクアセットに対して、資本金などの自己資本がどれくらいあるか?のことです。もし、多額の貸出金が回収出来ない事になると、自己資本を取り崩して処理することもあります。自己資本がどんどん減ってしまうようであれば、銀行の万が一に対する備えが弱くなることを意味します。この自己資本比率は、国際的な活動を行なう銀行については8%、国内のみで活動を行なう銀行は4%以上を確保していることが求められています。「不良債権残高」不良債権残高は金融再生法に基づく開示債権銀行法に基づく開示債権の2種類があります。この2つの違いは、大雑把に言えば、金融再生法に基づく開示債権のほうが対象にする債権の範囲が広いことが特徴です。どちらの基準にしろ、不良債権の残高が大きければ、それを処理するための費用や損失も大きくなり、それを収益でカバーできなければ自己資本を取り崩すこともあるために、不良債権残高の大きさは健全性に関する大変重要な指標となります。より詳しく見るならば、貸出金の残高に対して不良債権の残高の割合が大きくないか?という点に焦点をあてると比較がしやすいでしょう。しかし、不良債権が多い場合でも、将来発生する処理費用が既に手当されている(引当金という)場合や、不良債権のうち回収が見込める部分が多ければ、必ずしも健全性が低いともいえません。◆ディスクロージャー誌を読み取るコツは?書いてある内容が大体分かりました。数字がたくさん書いてあります。ここまでだと、何が書いてあって、どういう意味か?で終わってしまいます。本当は、ここからが大事。★推移が大事ある特定の年度だけの情報を見ていても、過去の業績と比べて、良くなったのか、悪くなったのか、分かりませんよね。毎年の業績の推移を見てみましょう。項目にもよりますが、複数年で記載されていますので、年度ごとの比較をしてみましょう。★他の銀行との比較も大事規模の大きさが同じ程度の銀行の情報と比較してみて、相対的に良いのか、悪いのか、を比較してみると判断がしやすいと思います。この場合、規模の大きさは資産の額、預金残高を見るのが一般的です。資産の額や預金残高は貸借対照表に記載されています。◆数字がいっぱいの本は見るのも嫌だというのなら・・・自己責任といわれる今、ディスクロージャー誌は、このような見方を参考にして、目を通して頂きたいものです。そうはいっても、やっぱり数字がたくさん並んでいるのはイヤだな~、と思われる方もいらっしゃるでしょう。そんな方には、ハッタリの小技をお伝えしましょう。銀行の窓口で、「ディスクロージャー誌を下さい。私はよく見方がわからないので、見るポイントを教えてください」と言ってみて下さい。その時の、銀行の窓口の方の対応で、あなたの受けた印象が判断材料です。オロオロして、しっかり説明できないような行員さんでは、安心して預けることが出来ませんからね。初心者に分かりやすく、丁寧に解説してくれる行員さんであれば、教育もしっかりしているのかな、大丈夫かな、と思えます。「人」も企業の資本ですからね。
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