社会ニュース/世界のニュース・トレンド

京都議定書から9年、地球温暖化問題の今…(3ページ目)

各国の温室効果ガス削減目標を定めた京都議定書が決議されてから、9年近くもの歳月が経ちました。ここで改めて、各国が削減目標までどの程度近づいたか確認しましょう。

執筆者:鳥羽 賢

議定書締結の裏にある制度-排出権取引

<主要国の温室効果ガス増減達成率(2)>
主要国の温室効果ガス増減達成率
1990年から2004年までの数字。(1)(2)とも、出典は気候変動枠組条約サイトより。
先進国が思うように排出量を減らせない一方で、ロシアを始めとする体制移行国は、全体的に排出量がかなり減っています。これは経済的に先進国ほど上手く行っていないことと、旧ソ連時代のずさんな環境汚染管理から比べると、管理体制が整ってきたことが理由でしょう。

アメリカは最初7%という削減目標も受け入れずに、「自分たちは0%で十分」という主張をしていました。それが妥協して7%を受け入れたのは、排出権取引という制度が作られたからです。

排出権取引とは簡単に言えば、お金を払えば目標以上の排出をしても許されますよ、という制度です。お金を払って、温室効果ガスを排出してよい権利を買うのです。しかしそれでは、お金のある先進国は目標以上の排出を許されて、京都議定書も目標自体が無意味になってしまうと主張する人もいます。

世界のどこの国も「自分たちだけは犠牲を払いたくない」と思っています。先進国は途上国に協力を求め、途上国はこれまでの先進国の行為が環境を悪化させてきたと主張し、協力を拒否します。しかし「誰かがやるだろう」「自分だけは逃れたい」とみんなが思っていては、結局誰もやらずに全員共倒れにもなりかねません。

みんなで協力して少しずつの犠牲を払い、なんとか温暖化問題に対処できるのか。あるいは誰も犠牲を払わずに共倒れになるのか。どちらが本当に賢い選択か、国際社会はよく考える必要が出てくるでしょう。


世界情勢についてさらに踏み込んだ情報を載せて、毎月メールマガジンを発行しています。世界情勢・ワールドニュースガイドメルマガのご購読を希望される方は、href="http://allabout.co.jp/career/worldnews/nlbn/NL000644/bnbody_1.htm">こちらからご登録ください。

【関連リンク】
「家庭でできる地球温暖化対策」(All About 子育てのための家づくり)
「初心者でもわかる地球温暖化」(All About 節約・やりくり)
「一人ひとりが取り組む地球温暖化防止」(All About 節約・やりくり)
「心配なのは温暖化だけじゃない!」(All About オーストラリア)
「どうやったらCO2削減ができるのか、手段を再検討」(All About よくわかる政治)
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます