マンション物件選びのポイント/マンションの防犯・セキュリティ

防犯マンションの新基準が登場(2ページ目)

住宅性能表示制度に防犯性能の項目が加わり、防犯優良マンションの全国標準がまとまるなど、セキュリティの新しい基準が登場しています。これからマンションを買う人にも参考になる基準の内容を見ていきましょう。

大森 広司

執筆者:大森 広司

マンション入門ガイド

共用部分も含めた防犯性能の基準を策定

住宅性能表示制度の防犯性能に関する項目は、あくまで住戸の開口部の性能だけを表示するもので、共用部分のエントランスやエレベーター、共用廊下などは今のところ対象外です。そこで共用部分も含めたトータルな防犯性能を評価する制度として、(財)全国防犯協会連合会のほか、(財)ベターリビング、(社)日本防犯設備協会が共同で「防犯優良マンション標準認定基準」をとりまとめました。主な基準内容は以下のとおりです。


○ 共用部分
・共用玄関は、見通しが確保された位置に配置
・共用玄関には、オートロックシステムを設置
・エレベーターホールは、共用玄関又は管理人室等からの見通しを確保
・エレベーターかご内には、防犯カメラを設置
・共用玄関、共用玄関の存する階のエレベーターホール及び共用メールコーナーの照明設備は、50ルクス以上の照度を確保
・共用廊下及び共用階段は、乗り越え等による侵入が困難な構造
・共用廊下及び共用階段の照明設備は、20ルクス以上の照度を確保
・塀、柵又は垣等を設置する場合は、周囲の死角の原因及び住戸の窓等への侵入の足場とならないもの
・防犯カメラを設置する場合は、見通しの補完、犯意の抑制等の観点から有効な位置、台数等を適切に配置

○ 専用部分
・住戸の玄関は、防犯建物部品等の扉及び錠を設置 ・住戸の玄関扉は、ドアスコープその他外部の来訪者を確認できるものを設置
・住戸内には、住戸玄関の外側との間で通話が可能な機能等を有するインターホンを設置
・共用廊下に面する住戸の窓は、防犯建物部品等のサッシ及びガラス、面格子その他の建具を設置
・住戸のバルコニーは、縦樋、階段の手摺等を利用した侵入が困難な位置に配置


居住者の安全意識がいちばんの防犯性能

最新の設備をそろえるだけではセキュリティが万全とは言えない
最新の設備をそろえるだけではセキュリティが万全とは言えない
防犯優良マンションの認定制度については、すでに東京都や大阪府などいくつかの都道府県で実施されています。今回まとめられた基準はいわば「全国標準」といったもので、他の自治体にも普及していくことが期待されています。

ただ、こうした基準はあくまでマンションの設備や配置についてのハード面について示したものです。最新の設備やシステムを導入したからといって、泥棒の侵入を100%防げるとは限りません。マンションの居住者が見知らぬ人の出入りに無関心だったり、ゴミ出しなどの決まりにルーズなマンションは狙われやすいと言います。いざとなったら助け合えるよう日ごろから隣近所と仲良くしたり、管理組合が敷地内をパトロールするなど、居住者自らが住まいの安全を守る意識が最も重要な「防犯性能」といえるでしょう。


【関連サイト】
建物部品の開発・普及に関する合同会議
マンションの「防犯性能」に国がお墨付き!?

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