ビジネスでの謝り方と頼み方のポイント
失敗やミスは誰にも起こります。そんな時、相手に許してもらえるように謝るにはどうしたらいいか迷います。また誰かに何かを頼むときに、快く引き受けてもらえるにはどうしたらいいかと考えてしまうもの。そこで今回は、謝り方と頼み方について紹介します。<目次>
謝るときの心構え
自分だけで処理できない問題も多くあります。必ず先輩や上司にすぐに相談しましょう
上司になると自分のミスでなくても謝らなければならない場合があります。部下の失敗であろうと責任逃れをせずに、会社の立場として誠実に謝罪しましょう。
しかし、言いがかりや誤解で起こってしまうトラブルもなくはありません。こんなときはやみくもに謝るのではなく、状況を見て相手の言い分が誤解からだとしたら、正しく理解をしてもらうように話すべきでしょう。安直に自分の過失だと認めてしまうことで、会社の信用を失うことにもなりかねません。相手の感情に引きずられずに、冷静に事態を見極めることも必要になります。
謝るのときの作法1. 速やかに対処する
相手が感情的になっているときほど、謝罪は難しくなります。きちんと誠意を持って臨むことが大切です。速やかに対処する
失敗やトラブルが起こってしまったら、とにかく早く対処しましょう。つい、後回しにしたくなるものですが、時間が経てば経つほど、取り返しが付かなくなります。大事にならないうちに、解決するのが賢明。
取引先とのトラブルの場合は、自分1人で抱え込まずにまず上司や先輩に相談します。1人の判断ではなく、会社としての判断を仰ぐことが大切。早めに事の顛末を報告しましょう。
謝るのときの作法2. 真摯な態度で向かう
真摯な態度で向かうとにかく真摯な態度で相手に向き合いましょう。自分の態度がそうなっているかは、相手が感じること。「謝っている態度じゃない!」と思われてはいけません。あなたが心から詫びている意思表示を、きちんと相手に伝えなければなりません。
事態の重さに混乱するあまり、逆にへらへらと薄ら笑いをしてしまったりすると誤解されてしまいます。頭をしっかりと下げることや身体がふらふらと動かないこと、視線や姿勢などにも意識をしてください。詫びの言葉も、もごもごせずにはっきりと言うように心がけましょう。
謝るのときの作法3.言い訳はせず、状況説明をする
言い訳はせず、状況説明をするどうしてこうなってしまったのか、と言いたくなる気持ちはわかりますが、そこはぐっと我慢して、まずは謝罪の言葉から! その言葉をしっかり伝えないうちは、相手の怒りが治まりません。一生懸命に弁明しているつもりでも、相手には言い訳を並び立てているようにしか聞こえません。相手の気持ちが落ち着くまでは、余計なことは言わずしっかりと相手の話を聞きましょう。
失敗したときは戸惑ってしまうものですが、深呼吸して落ち着くことが大事。謝りたい気持ちを理解してもらったら、検証した事実を報告します。どういう理由で起こってしまったトラブルや失敗なのかを説明します。ここで理由を言うことが、言い訳していると取られないように気をつけましょう。
早急な対応は必要ですが、気持ちの整理や事実を検証しきれていないまま、相手先へ行くと「何がどうして、こうなったのか」という質問に答えられません。それは、かえって相手をいらいらさせてしまいます。5W1Hを考え要領よく説明できるようにしておくように。
謝るのときの作法4. 怒りの原因を考える
怒りの原因を考える相手の怒りがどこにあるのか、それをきちんと考えて謝ることができると、相手の腹を立てていた気持ちも治まります。謝っているのに怒りが治まらないときは、謝るポイントがずれていることがあるのでしょう。
たとえば、買い物をしたお客様から、「洋服に染みが付いていた」というクレームがあったとき。店員が「申し訳ありません。すぐにお取替えします」と言って対処したとしても、「別に替えて欲しくて言っているんじゃない!」などど、いつまでもブツブツと言っているということはないでしょうか?
確かに、新しいものに取替えれば済むことなのですが、この場合、お客様の怒りを治めるには「悲しい思いをさせてしまった」ということに対しての謝罪がいいでしょう。きっと、新しい洋服を着ることを楽しみにしていたのでしょう。それができなくて残念な気持ちにさせてしまったことを察して、謝ることが大事。この怒りの本質がつかめると、謝罪するポイントもわかってきます。
謝るのときの作法5. 反省の言葉と、今後の対応
反省の言葉と、今後の対応お詫びの言葉(すみませんでした。申し訳ございません)の後には、反省の言葉です。自分は過ちをどのようにとらえ、どう反省しているかを相手に伝えます。「すみませんでした」だけでは、反省しているポイントがわからないので、「○○が自分では不十分だったと反省しています」というように具体的に話します。「もっとこうすれば、こんな事にならなかった」と思われることを、今後どのように注意し改善していくかをしっかりと伝えましょう。
頼み方の心得
上手に頼みごとができる人は協調性が高く仕事ができる人。嫌がられずに頼みごとを引き受けてくれるようにするには、日頃のコミュニケーションが重要なポイントです。これをおろそかにしてしまうと「えっ、なんで?」と思われ、快く受けてもらえません。あなたにも「この人の頼みは嫌ではないけれど、あの人の頼みは受けたくないな」と思うことありませんか? それは言い方や態度ではなく、すべて日々の付き合い方が影響します。自分の仕事に関わる人たちと信頼関係を築くことが大切。スタイルだけ整えても、人の気持ちは動かせません。「やってあげたい!」と思われるためには、頼まれる前に自分がやってあげようと思う気持ちで相手と接していくことです。
頼まれたほうが「なんだか頼まれ損した」と感じたなら、頼むほうに問題があります。いつも、頼んでばかりだと相手も嫌になります。この前は頼まれたから今回は手伝おうと、お互いにGive and TakeやWin-Winの関係でいられるように、常に意識することが大事です。
頼むということは、人にお願いすることですから謙虚な気持ちや姿勢で臨んでください。必要以上にへつらう必要はありませんが、礼儀を尽くすのはあたりまえのビジネスマナーです。
頼み方の作法
人間関係を円滑にしていれば、仕事ならまず時間が許す限り引き受けてくれるはず。それでも相手が快く受けてくれるためには、気をつけておきたいことがあります。何かを教えてもらうときや相談などの頼みごとをするときには、「恐れ入りますが、ご都合がいい時に15分ほどお時間をいただきたいのですが……」と相手のスケジュールを優先し謙虚な態度でお願いしましょう。仕事の協力をしてもらいたい時も、同じようにタイミングをみて声をかけます。相手の都合を聞かずに「これお願い!」という頼み方は、相手に嫌がられるので注意しましょう。
同僚の場合はつい頼みやすさもあり、無理強いをしてしまいがち。お願いする立場なので、やはり失礼のない謙虚な態度で。日頃、相手が困っているときに手伝っていると、いざというときに気持ちよく引き受けてくれます。「君だから頼めるんだよ」という気持ちと言葉を添えるといいかもしれませんね。
部下に対しても、上司だからと命令口調にならないように気をつけましょう。頼むときは「これを頼めると、とても助かる」と、相手にやる気を出させるようにします。部下がやるのは当たり前と思わずに、必ず「ありがとう」と感謝の言葉も忘れずに。頼みやすい部下には、自分の嫌な仕事を押しつけるのはよくありません。尊敬されない上司の典型的なパターンですから気をつけてください。
上司へ仕事の協力をお願いするときは、どういう理由で相手にお願いしたいのかをきちんと説明すること。できればメールや電話ではなく会ってお願いするべきです。「実は○○部長にお願いしたいことがあります。なぜ部長にお願いしたいのかと言いますと……」というように、時間を割いて作業をしてもらう訳を伝えましょう。取引先へお願いするときにも、直接会いにいき状況をきちんと説明することが大切です。
仕事を気持ちよく頼めるようになると、自分だけで仕事を抱えてしまわず効率よく進めることができます。お願いする時には「~してください」よりも「~してもらえますか?」と疑問形で訪ねると、押し付けた感じがなくなります。日頃からコミュニケーションをとっておくことも大切。ぜひ頼み上手になりましょう。
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