パワフルな佐藤氏は本選びもダイナミックに
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「厳選された本を読むことで、得られるものは大きいですね」と佐藤氏。笑顔を絶やさず、しかし力強い口調で語る姿には、話す相手にも力を与える存在感がある |
ガイド:佐藤さんが人との出会いを大事になさるのは、今までのお話やお人柄で伝わってきますが、読書も嗜まれるんですね。
佐藤:もともとは、読書はすっごく苦手だったんですけどね。年に3冊読めば多いほう、くらい(笑)。「全部、人との出会いから吸収すればいい」とも思っていましたし。それが、すごい読書家の社員との会話を機に変わって。机の上に、1mくらいの高さで本が山が積みになってるんですよ。「お前、なんだよコレ?」とも思ったんですけど(笑)、「これだけ本を読む奴が薦める1冊なら、素晴らしい本に違いない」と思って聞いたんです、「この中で、いちばんすごい本はどれ?」って。それで渡された本が、やっぱり素晴らしい内容でした。以後、また彼に薦めてもらったり、自分で書店で選んだりと、とにかくたくさん、本を読むようになりましたね。
ガイド:ご自分で本を選ぶとき、どこがポイントになるんでしょう?
佐藤:土日に、書店を見つけたら入って、ダーッとピックアップするんですよ。まずはタイトルでピンときたら目次を読んで、「いいな」と思った本を持って、またよさそうなのを見つけたらそれを上に積んでいって。一度に10~20冊くらい買いますね。
ガイド:それは確かに、すごい読書量ですね。元読書嫌いとは思えない数です(笑)。
佐藤:そうですね、量もそうですけど、僕の場合、「この本だーっ!」と思った本は、何十回、何百回と読み返すんですよ。だから、新しい本を買っていないときも、常に何か読んでいますね。
ガイド:ちなみに、その「この本だーっ!」の書名は何ですか?
佐藤:コレですね、
「きっと!すべてがうまくいく」(著者:ジェームズ・アレン 翻訳:坂本 貢一 出版社:PHP研究所)。「『原因』と『結果』の法則」の著者、ジェームズ・アレンの本で、前向きに人生に立ち向かうメッセージが詰まっているんです。この本には、いろいろな局面で、何度も支えられましたね。
ガイド:なるほど。先ほどの佐藤さんの座右の銘とも重なる内容ですよね。この本のメッセージでも、とくに「ここだーっ!」(笑)という部分はありますか?
佐藤:あります! 「
パワーに満ちた人とは、周囲の人たちがどんなにあわてているときでも、おだやかにしていられる人である」という一節ですね。最後の最後の土壇場で、「ギャー!」とか「ワー!」とかやってると、判断を誤るんですよ。うるさいだけで(笑)。そういう局面こそ、細かく注意して、理性的に判断して、やるべきことを淡々とやっていく。周囲もそういう姿を見れば落ち着きを取り戻せますし。とくに経営者には、必要な資質ですよね。そんな気持ちをこめて、この本はグループ会社の社長や社員だけでなく、出会った方にもよくさしあげているんですよ。
15のグループ会社を束ねる秘訣は"懐の深さ"
ガイド:なるほど。佐藤さんのバラエティに富んだ事業アイデアやグループ経営の方針には、そんなメッセージも込められているんですね。
佐藤:そうですね、いまのアイ・シー・エフは15のグループ会社から成り立っていますが、それぞれの社長が、平均年齢31、32歳くらいで、"若い経営者集団"のイメージ。僕は、その持ち株会社の社長、というスタンスでいます。
ガイド:バラエティに富んだ各社を、そうやってマネージしていくんですね。
佐藤:はい、大枠を伝えるだけはしますが、あとは基本的に、それぞれの社長にまかせています。積極的に"提案"をすることはありますが、主軸さえ伝えてあれば、細かいひとつひとつのことに、僕が口出しをするまでもないんですよ。そういう環境でこそ、自由で生きたアイデアが生まれていくと思うんです。
ガイド:きょうは貴重なお話をいただき、ありがとうございます。……さて、もうすぐ「金曜、20時」ですが、今夜はどのように過ごされる予定ですか?
佐藤:きょうの「金曜、20時」は…飲みに行きますね。半分ビジネス、半分プライベートで(笑)。やっぱり、人と会って過ごす時間が一番好きです。自分より経験豊かな経営者の方とお会いすると、学ぶことが多いですし。同年代の経営者とは、"昔からの仲間と飲む"という感覚ですね。これからも、"修行"は続けながら、人と積極的に出会って、出会いで得たものを大事にしていきたいですね。
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