キャリアプラン/キャリアプラン事例

マネックス松本社長のマネジメント力

「10億円捨てた男」という異名を持つ、マネックス証券松本大社長。30歳で世界的な投資銀行のパートナーとなり、マネックスを成功に導いた仕事術とは?「マネジメント」と「情報分析力」に注目。

執筆者:角田 正隆


松本 大 氏
マネックス・ビーンズ証券株式会社 代表取締役社長CEO 松本 大 氏 63年生まれ。87年3月東大(法)卒、同年4月ソロモン・ブラザーズ・アジア証券入社。90年4月ゴールドマン・サックス証券入社。94年、30歳で同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)就任。99年マネックス証券設立、代表取締役社長就任。2000年8月東証マザーズ上場。著書に『10億円を捨てた男の仕事術』などがある。
マネックス証券の松本大(まつもと・おおき)社長は、“10億円捨てた男”という異名を持つ。

若干30歳で世界的な投資銀行、ゴールドマン・サックス証券のパートナー(共同経営者)に就任。「国際金融界の殿堂入り」、政界の「ホワイトハウス入り」というべき名誉ある職に就いた。

ところが松本氏は36歳でこの要職を辞してしまう。しかも当時ゴールドマンは、株式上場を目前に控えていた。パートナーである松本氏には、相当数の株式保有が認められる。もう少し会社に残っていれば、推定数十億円の財産を得られるはずだった。

だが松本氏は、翌年解禁が迫っていた「証券取引手数料の自由化」を、インターネット証券に参入する千載一遇のチャンスと判断した。そして、約半年の準備期間を経てマネックス証券を設立。手数料自由化の波に乗った同社は、瞬く間に事業規模を拡大させ、ネット証券大手の地位を確立する。

これだけでも松本氏が、非凡な人物であるのを分かっていただけると思う。この記事では、松本氏の「マネジメント力」「情報力」について掘り下げた。


“星一徹”マネジメント

『眞鍋かをりと松本大のいちばんやさしい株のはなし』
タレント「真鍋かをり」さんとの共著『眞鍋かをりと松本大のいちばんやさしい株のはなし』
大きな仕事を成し遂げるには、組織を束ね、人を動かすマネジメントが欠かせない。松本氏はゴールドマン時代の26歳のとき、デリバティブ専門チームを立ち上げた経験がある。このプロジェクトを成功させた功績が、パートナー就任の決め手となったようだ。

本人は「“星一徹”ばりの厳しいマネジメントだった」という。メンバーには過去の常識に捉われない新卒や第2新卒者を起用、彼らに3人分の仕事を任せ、能力以上の力を引き出した。アイドル「真鍋かをり」さんとの共著(右・写真)の表紙で、ニコニコしている松本氏の印象が強いだけに、鬼コーチぶりがとても意外だった。

「チームが少人数でしたから、このやり方が有効だったんですよ。当時、若手のメンバーが通りかかると、見込みのあるヤツには『ムリしてっか?』と声をかけていました(笑)。現代のスポーツ医学では間違っているのかもしれませんが、『筋力トレーニングは、辛くなってからの分が効く』と言われていたじゃないですか。実際、私もそうやってきたし、彼らにもムリをさせないと、成長できないと思ったのです」

>松本社長の“星一徹式マネジメント”



ガイドが取材した「マネックス証券 松本 大 社長」の記事
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