次々と夢を実現させてしまう、ワタミフードサービス渡邉美樹社長に、その秘訣を教えていただきました。過去記事:ワタミ渡邊社長「夢の日付」手帳もご参照ください。
自分の葬式をイメージ
■ワタミフードサービス 渡邉美樹社長 1959年生まれ。大学卒業後、ミロク経理サービスで経理を習得、佐川急便で独立資金を貯め、84年有限会社渡美商事設立。「つぼ八」のFC店をオープン。96年店頭公開。2000年東証1部上場。座右の銘は「夢に日付を」。ワタミ創業のエピソード |
渡邉:それは何も考えて生きてこなかった自分の責任ですよ。もし自分が何かしらの夢や目標を持って生きていれば、「やりたいこと」は向こうからぶつかってくるものです。
そういう人には「自分の葬式を思い浮かべてください」とアドバイスします。自分の葬式で参列者に「自分はどんな人だった」と言われたいかを考えてみると、生きる目的や目標がはっきりするでしょう。
―――逆に「やりたいことが多すぎる」と悩む人に、どんなアドバイスをしますか?
渡邉:そういう人は「行動」が欠けている傾向があります。だからまず「やりたいこと」を絞り込むべきです。「やりたいこと」が10個あっても、1つ実行しないと何も分からない。中途半端に10個を同時に追いかけても時間の無駄です。1つに命を掛けるから、初めて本質が見えてくるんですよ!
絞ることに躊躇(ちゅうちょ)してはいけません。選び方は好き嫌いの感情だけでもいいんですよ。「自分がそれで頑張れるか?」を基準にしてもいい。ただ決して損得だけで判断してはいけません。損得勘定すると見事に失敗します(笑)。
教育革命の目的
―――とりあえず「資格」を目標にする人もいます渡邉:そういう人は目的と手段が逆になりがちです。目的があって、そのために資格が必要だったら取るべきだと思います。ところが資格を取ること自体が、目的になる人が多い。
「弁護士の資格を取れてよかった」ではなくて、「こういう社会的使命を果たしたいから弁護士になった」と言うのが正しい。
これは教育が根本的に間違っているんです。こういうことをして、こういう生き方をしたいから「○○大学の○○学部を選ぶ」のが、本来あるべき姿。ところが実際の高校生は成績が○○だからといって、それに見合う大学を選んでいます。
それが、今の若者が目的や目標を持てない原因だと、私は分析しています。僕は中学や高校の教育を変えたいと思って、学校法人の経営を始めたんです。
夢のカラー化
―――渡邉社長は日々、夢や目標を再確認しているそうですね渡邉:『夢に日付を』というメモを見ながら、それが実現された状況をイメージします。しかも“カラー”で見えるまでこの作業を繰り返す。すると、不安な部分は、ぼやけた“グレー”で見えるのです。
我々は、2008年にグループで1000店舗の出店を目標にしています。これをイメージすると、北海道に何店、九州に何店あり、業態は何が何店あるというところまで、具体的にイメージできます。
ところが物流網やバックオフィスの体制まで思い巡らすと、「北海道の食材はどうやって配達するんだ?」という部分が“グレー”でぼやけてしまう。すると「じゃあ仙台に拠点を設置する必要がある」のが分かる。
グレーの部分が“夢の阻害要因”です。これを毎日“カラー”にしてゆく作業を繰り返すうちに、夢が「具体的な行動計画」に発展するのです。