依然、低金利が続くなか、ローン商品の種類が増えたり、公示地価が一部の地域で上昇したり、新築など住宅を取り巻く環境は、いつが建てどきとは、表現しにくい状況です。私は、一戸建て新築こそ、「今、必要なのだ」と感じたときが、その人にとっての「建てどき」だと思います。それでも、なかなか踏み切れない人もいるでしょう。そこで、現在、家を建てているのは、どんな人たちなのか、ある調査結果からみてみましょう。案外、あなたと年齢も年収もあまり変わらない人たちかもしれません。
年収600万円前後の30代が新築
住宅金融公庫の「利用者調査報告 マイホーム新築融資 平成15年度」によると、家を建てている人のプロフィールは、下の表のようになっています。
平均年齢 | 39.3歳 (中央値は37.0歳) |
平均年収 | 592万5000円(中央値は549万6300円) |
平均同居人数 | 3.8人 (中央値は4.0人) |
私がここ1年の間に取材させていただいた方たちも、30代半ばから40代半ばごろの方がほとんどでした。この年代の人たちは、子供がある程度の年齢になり、家族構成も安定してくるので、新築や住み替えによって子供部屋を確保するなど、落ち着いた住環境をつくろうとするケースが多いと考えられます。実際、新築したことで、兄弟共用だった部屋が個室をもてるようになったというのはよくある事例です。
90坪弱の敷地に40坪前後の家
では、どんな家を建てている人が多いのか、平均値をみてみましょう。
平均敷地面積 | 292.1m2(88.3坪) |
平均住宅面積 | 137.3m2(41.5坪) |
平均の敷地面積は、292.1m2(88.3坪)です。敷地面積の数値が大きいと感じられるかもしれませんが、これは平均のマジック。敷地面積のボリュームゾーンは150.00~199.99m2(45.3坪~60.4坪)ですから、それほど広い敷地をもっている人ばかりでもないようです。
また、住宅面積の平均は137.3m2で41.5坪で、ボリュームゾーンは120.00~139.00m2(36.3坪~42.0坪)です。こちらのほうは、意外に狭いというのが正直な感想ですね。家を建てても、ゆったりとした広さを手に入れられるわけでもないようです。しかも、この数字は、平成10年度が146.4m2(44.2坪)、平成12年度が142.9m2(43.2坪)、平成14年度が138.3m2(41.8坪)と、ここ数年、だんだん小さくなっている傾向があります。家族の人数は、毎年ほとんど変化がありませんから、一人当たりの住宅面積がだんだん小さくなっているわけです。
また、「新築・建て替えをした理由」の主なものは以下のようになっています。
単位(件)1. 住宅が狭い | 8612 |
2. 住宅が古い | 5785 |
3. 家賃が高い | 1978 |
4. その他 | 1467 |
5. 世帯を分ける(結婚を除く) | 1013 |
6. 結婚 | 1002 |
7. 環境が悪い | 472 |
8. 立ち退き要求 | 405 |
9. 通勤・通学に不便 | 393 |
住宅が狭くて家を建てている人が多いのに、住宅面積のボリュームゾーンは125.00~129.99m2(37.8坪~39.3坪)となっているのが気になります。公庫では、新築前の住宅の面積についても調べていて、従前住宅の面積の平均は82.3平方メートルです。確かに、広くはなっているのですが、もう少しゆとりがほしいところです。
上の理由にはあらわれていませんが、「税制が有利なうちに住宅建築をしたい」という人もいるでしょう。しかし、住宅ローン減税はだんだん縮小傾向にあります。恩恵を受けるには、2005年12月末までに入居することが条件のひとつになっていますから、そろそろ決断のリミットかもしれません。
また、分譲マンションや分譲戸建てへの住み替えではなく、あくまでも、注文住宅にこだわった人たちにその理由を聞いてみると、私が取材したところでは、「好みのインテリアや設備を採用したり、希望通りの間取りにしたかったから」という声が圧倒的でした。さらに、断熱性や気密性など、住宅性能についての不満が新築によって解決できたことに満足している人が目立ちました。このように見てくると、思い通りの家=注文住宅と、考えるのもよくわかります。
では、どのくらいの建築費がかかったのか。さらに、ローンの状況については、次ページでみていきましょう。