手すりは設置場所が限定されないように下地材を
まず、最初に気をつけたいのは、下地材の入れ方です。使う人の状況や体格によって適切な場所に手すりを設置できるようにしておくには、下地を広範囲に入れておくことが大切です。下地材として、ビニールクロスの下に合板などを張っておけば、大抵対応できますが、細い板を下地として渡しただけだと、手すりを設置できる範囲はかなり限定されてしまいます。
廊下幅を後から変更するのは難しい
廊下の幅を後から広げるのは非常に難しいこと。高齢者のいる家庭ではゆとりをもったプランにしておくとよいでしょう |
次に注意したいのは、廊下の幅。手すりを取り付ければ、その分だけ有効な廊下の幅は小さくなります。
手すりを頼りに伝い歩きをしている状態であれば、廊下の有効幅員(幅)は、一般住宅によく見られる780~850mmでも問題はないですが、車椅子を使う可能性が高ければ、もう少し広めにしておいたほうがいいでしょう。廊下の幅は建築時のモジュール(建築時の基準となる寸法のこと)によってだいたい決まってくるうえ、廊下幅を後から広げるのはとても難しいことなので、建築時にできるだけ将来のことを予測しておきたいものです。
照明は高齢になっても不自由しないように
高齢になると、部屋や廊下の明るさが不足することにより、事故が発生することがあります。これは、加齢とともに、より明るさが必要となるからです。ですから、建築時にちょうどよい照度の照明を計画するのではなく、必要になったときに点灯できるように余分に照明を設置したり、後で照明器具を追加できるようにしておくのがおすすめです。廊下や階段には、夜間の安全性を高めるために足元灯を設置するのもよいアイデアです。
リビングでは、スタンドなどを追加できるようにコンセントを大目に設けたり、調光器などで適宜調整できるようにしておくのもよいでしょう。
ドアノブは丸いタイプより写真のようにレバーハンドルタイプのほうが高齢者は使いやすいようです |
建具の開きとスペースを確保する
建具の開き方も、将来を予測して計画したいことです。例えば、トイレの出入り口は、トイレの室内に向かって開く内開きのドアだと、中で人が倒れていると開けられなくなります。引き戸にするか、廊下側に開く外開きのドアにしておくとよいでしょう。外開きのドアにするときは、万一、車椅子になったり、杖を使うようになったときのことを考え、ドアが外に向かって開いてくるときに待機できるスペースを確保するなど、ゆとりをもった配置にすると理想的です。
また、建具の敷居部分はあらかじめ段差のないよう、下枠のない施工にしておきたいところです。