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新陰影礼賛1 日本人が愛してきた光と影

和の光というとどんな光を想像しますか?能などの伝統芸能は光と深く関っています。また日本には「ちらちら」「あかあか」といった光を現す言葉がたくさんあります。豊かな光の文化をもう一度見直してみませんか?

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

おぼろげな光の文化


写真1.遠くの山はかすんで見えます。
光と影の関係を物理学的に言えば、物体に光があたったとき、物体上に光があたってない暗い部分を陰といい、物体の投影を影と呼んでます。物体に対して発光面が遠くにあって小さく、さらに輝度が高いほどはっきりした明暗が生じます。そのような時の暗がり部分を本陰、本影と言っています。反対に発光面が近くにあって大きいほどぼんやりしたカゲになりますが、その部分を半影、半陰といいます。

光源の全面を拡散フイルターなどで覆うと、広く覆えば覆うほど物体も物体を取り巻く環境の全てが限りなく柔らかな陰影空間になります。日本の伝統的な家屋は日中、明かり障子によって仄明るい半影を空間に創造してきました。そのような和紙を透過した光は室内のものを柔らかく見せ、人々の表情をやさしくします。

もともと気候的に高温多湿のわが国では、太陽の直射光は湿気という薄いフイルターを透して地表に降り注ぐため、自然の景色などが霞がかった感じに見えます。(写真1)


写真2.能面は陰影によって表情が変わります。
このような光の景色を日常的に見てきたわが国の先人たちはおぼろげな見え方に高い感受性を示してきました。例えば今日に伝わっている能はもともと明かり障子によって得られた拡散光を基本に創られた芸能文化と聞いています。(写真2)

また絵画で例えると日本画は陰影のない平面的な画風に対し、西洋絵画は多くの場合明暗法による立体表現や遠近感が特徴になっています。

次の頁では、豊かな光の表現についてご紹介しています。
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