おぼろげな光の文化
写真1.遠くの山はかすんで見えます。 |
光源の全面を拡散フイルターなどで覆うと、広く覆えば覆うほど物体も物体を取り巻く環境の全てが限りなく柔らかな陰影空間になります。日本の伝統的な家屋は日中、明かり障子によって仄明るい半影を空間に創造してきました。そのような和紙を透過した光は室内のものを柔らかく見せ、人々の表情をやさしくします。
もともと気候的に高温多湿のわが国では、太陽の直射光は湿気という薄いフイルターを透して地表に降り注ぐため、自然の景色などが霞がかった感じに見えます。(写真1)
写真2.能面は陰影によって表情が変わります。 |
また絵画で例えると日本画は陰影のない平面的な画風に対し、西洋絵画は多くの場合明暗法による立体表現や遠近感が特徴になっています。
次の頁では、豊かな光の表現についてご紹介しています。