照明・LED/照明器具・間接照明の基礎知識

夜空を切り裂くサーチライト(2ページ目)

夜空に光の光線が走っているのを一度はご覧になったことがあると思います。今回は、イベントやライトアップで使われるサーチライトのご紹介です。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

非日常の光


写真3.光が空で重なっています。(青蓮院)
キセノンサーチライト器具は数百Wから数kWまであります。現在、それらの光をコンピュータで自動制御したり、カラーフィルターで光を色づけしたもの、数十本の 細いビームに分けられる器具など幾つかのバリエーションがあります。

光は反射鏡などでかなり絞られており、限りなく0度に近い(平行光)ビーム角になっております。またレンズでスライドプロジェクタのようにクッキリとある形に切り取られた状態で投光されることもあります。この場合は上空を照らすより、かなり離れたい位置にある看板を明るく見せる使い方などになっています。

サーチライトのような照明器具の明るさは照度で表すのではなく光度で決まります。例えば100ワットの白熱電球の光度はおよそ130カンデラ(cd)あります。それはランプの中心からソケット近くを除くあらゆる方向の明るさです。

一方キセノンショートアークサーチライトは150Wで最大数百万カンデラと桁違いの明るさがありますが、これは光が出ている数度の範囲内の明るさを指しています。


写真4.4台のサーチライト(青蓮院)
最近サーチライトを使用する上での規制がそれぞれの自治体で厳しくなっています。その一番の理由が夜空を明るくすることで星が見えなくしてしまう問題です。さらに空を明るくすればするほど貴重な電気エネルギーが無駄になる、と言う理由からでしょう。

確かに、限りある資源は有効に使われなければなりません。しかしスポーツイベントの開会式や季節、期間限定のイベントで花火と同じように瞬間的な演出効果として使う分には、そのような光を見て嫌な気分になる人はいないと思います。

むしろ日常的な生活から開放され、心和むひと時を堪能できるのではないでしょうか。そんな光が、今年も春の京都にもありました。(写真2~4)

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