賃料設定や入居率によって事業収支は大幅に計画が狂う事も |
次に、賃料収入ですが、周辺相場と比較して適正な賃料査定額での収支計画になっているかどうかの見極めが重要です。事業計画書では、1部屋あたり10万円の賃料設定になっていたとしても、現実に同規模・同一条件の新築物件での実態相場が仮に9万円であれば、失敗は目に見えております。
あらかじめマーケティングのところでも述べた通り、周辺の賃料相場について、成約事例を確認し、実態賃料を把握しておく事が重要です。また、収入計画では空室率についてもリスクヘッジのために確認しておきましょう。満室時の収益や利回りで計算されている事が多いのですが、想定外に入居率が低かった(空室率が高かった)場合、期待した収益や利回りが確保できないという事が起こりえます。借入している場合には返済計画にも影響が出てきますので、安全な賃料を控えめに見ておいたほうが健全経営につながります。
更には敷金や礼金(保証金)といった預かり金や収入も入居の有無や経済状況によっては変動する可能性があります。地域の慣習や時代の流れによっては、礼金が取れないというケースも出てきますので、過大な期待をしていると足元をすくわれる事にもなりかねませんので、収入計画には見込まずに、ボーナス的な発想で計画しておくことも一考です。
■ポイント3 金利(返済)も事業収支上は重要なファクター
3つめの金利(返済)ですが、実は建築費が高い安いよりも重要なポイントになります。わずか1%の金利差でも、何十年もの返済計画の場合、その差が何千万円かになる場合もあります。また、経済情勢や金融情勢により金利は変動するものです。安定経営を目指すのであれば、将来の金利上昇の可能性も考え、固定金利を選択するなどの自己防衛策も検討すべきでしょう。
都市銀行・地方銀行・信金・信用金庫・信託銀行・生命保険会社など様々な融資機関がありますので、上手に比較し、有利な金融機関と交渉してください。
もう一つ大切な上記3つのポイント(+)α ランニングコスト
固定資産税や都市計画税は不動産を保有する事で毎年課税される |
一定額以内であれば、年度ごとに修繕費として経費計上できますが、資産計上されるようなリフォーム工事や設備増加を行った場合には、経理上は減価償却費となり、取得した資産に応じた年数で償却していくことになります。そういったことも視野に入れて、事業収支は厳密に、多めに考える必要があります。
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