土地活用のノウハウ/土地活用の基本とテクニック

土地活用で収益力を高める方法(3ページ目)

土地活用は、建ててからが本番です。アパート経営をきちんと軌道に乗せていくために重要なポイントについて、今回は触れます。収益アップの参考に!

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

万全な空室対策で満室経営を!

どんなに立派なアパートを建設しても、入居者がいなければ経営が成り立たず土地活用の成功には至りません。全国の賃貸住宅の空室率は増加傾向にあり、長期空室物件も増加の一途を辿っています。その理由は様々ですし、エリアによっても対処方法が若干違うようです。まずは何が理由で空室なのかを客観的に分析してみる事が大切です。

■ステップ1 空室・退去の原因を探る 
 ・入居者が利便性の悪い(郊外)場所から良い場所(中心部)に住み替えている。
 ・中心部に新築分譲マンションが大量供給され、賃貸からの脱出が増加した。
 ・老朽化した実家を二世帯住宅に建替えて、親と同居する。
 ・マンションデベロッパーが売れ残り、分譲マンションを賃貸に回している。
 ・新興の小規模オーナーが先行きのリストラ、退職金、年金不足対策として安定収入確保のため参入を始めており、供給過剰気味である。
 ・入居率の悪い事務所ビルをリフォームして賃貸マンションへの用途変更(コンバージョン)が増加している。
 ・親の不景気による収入の減により学生など子供への仕送りが困難になり、自宅から通える学校に通わせる、又は仕送り減少により安賃料の物件に住み替えている。
 ・不景気による影響で会社の住宅手当がカット、又は減少により自宅に戻る層が増加している。
など…

■ステップ2  対策
 ●対策1 賃料を下げる
建物は年々古くなります。新築時をピークとしてそのまま賃料が横ばいに行く時代ではありません。しかし工夫次第では賃料を下げずに次の入居者を決定させる事もあります。しかし、大半はそのようにはいかず、値下げを余儀なくされています。
    
例)月額10万円の部屋の場合
値下げをせずに空室期間6ヶ月目に契約した場合、60万円の損、1年間の収入は10万×6ヶ月=60万円(3年間では、60+120+120=300万円)
5,000円を値下げしてすぐ決まれば1年間で 95,000×12ヶ月=114万円(3年間では、114+114+114=342万円)

5,000円値下げしてすぐ決めた方が3年間でも42万の得となります。

自動車は年式が古くなるほど、価格が下がります、建物も同じと考えてください。

値下げをすると入居者の質が落ちるのではないかと言う事を良く聞きます。実際は物を買う時に安くて良い物を買いたいと思う気持ちは誰でも同じです。後は入居審査をしっかりやればその後のトラブルは回避できます。今の時代、大半のお客様は賃料を値切ってきますし、今や当たり前の事と考える事です。

値下げをすると、他室の既存契約者から自分の契約賃料の方が高いので値下げしてくれと言われるのではないかと言う事も良く聞きます。その場合は値下げした契約者に対して、秘密保持の念書を書かせる方法があります。

 ●対策2 募集条件の緩和・見直し
ペット飼育可にする、などです。但し既存入居者との関係があるので注意が必要です。高齢者対応可にするのも、各市町村によって入居支援や補償があるところもありますので調べてみるのも良いでしょう。また、地域によっては敷金・礼金・更新料の見直しも一考です。

保証人なしで、保証会社と連携する。保証会社が倒産することもありますので良く選びましょう。優良管理会社を選んで滞納保証をしてもらう方法もあります。

 ●対策3 頼んでいる不動産会社の見直し
空室の50%は、頼んでいる不動産会社に原因が有ると言っても過言ではありません。その不動産会社の募集方法・募集チラシ等によって大きく差がでます。募集方法は自社だけではなく他業者にも募集応援依頼をしているか、インターネットや情報誌を活用しているか、募集チラシは綺麗に見やすく出来ているか、そのあたりが重要です。どんなに良い物件でも募集方法が悪いとなかなか決まらない事もありますので要注意です。

※次のような不動産会社に頼んでいるのであれば、不動産会社を替える事も検討しましょう。    
 1.土日祭休んでいる。
部屋探しのお客様の80%は、土日祭に探し歩いています。この大事な日に休んでいるようでは、部屋は決まりません。
 2.お客様にチラシのコピーだけ渡して物件の案内をしない。
案内の重要性はお客様とのコミュニケーションです、これが無ければ決まりは良くありません。
 3.募集間取図面が見にくい、古い、汚い若しくは、無い
募集チラシを見やすくきれいに作っていれば、その物件もきれいなのかなと思われます。物件を見なければその部屋は絶対に決まりません、募集チラシとは物件を見に行かせる最大の武器なのです。
 4.社員がコロコロ辞める
社員の定着率が悪い不動産会社はよくありません。長く勤めていれば、その物件周辺、土地勘を把握します。そうすればお客様を案内する時に最短距離にて案内をしたり、スーパーや学校、その他の施設にも熟知しているのです。それが定着率の悪い会社ではできません。

 ●対策4 所有の物件はしっかりとした管理
丁寧で入居者目線に立った管理及び清掃、日常の修繕が肝心です。住む人の気持ちになり自分の所有物件を可愛がりましょう。
 1.郵便ポスト周辺にチラシが散乱していないか。
 2.自転車置場は整理されているか。
 3.敷地内(庭含む)に雑草が伸びていないか。
 4.階段の下は放置荷物や蜘蛛の巣がないか。
 5.共用廊下、エントランスにゴミが落ちていないか。
 6.共用廊下、エントランス、バルコニー(ベランダ含む)中庭等に物置やベビーカー、車のバッテリー、タイヤ等を置いていないか。
 7.鉄部(階段、バルコニー、柱等)が錆びていないか、若しくは塗装が剥げていないか。

 ●対策5 物件の間取、設備、仕様は入居者ニーズに合っているか?
部屋の間取、設備、仕様は空室対策にはとても大事なポイントです。大家さんは常に時代に合った間取、設備等を勉強して場合によっては大規模なリフォームも必要となります。大切な事は最新の賃貸市況を熟知している人をパートナーに置き的確な相談、アドバイスをいただく事が望まれます。
※空室で悩んでいる大家さんは近隣の競合している物件を見学して最近の人気設備、仕様、間取りを常に把握する事が大切です。

では、どうすれば頼りになるパートナーを見つけられる? 詳しくは次ページにて
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