引っ越しピークの時期でも人の移動がない
新居の整理は楽しいものです |
大きな理由が、転居者の減少です。経済情勢の影響が大きいでしょう。引越しをして新たな住まいを探す人が減っているのです。数少ない「動く」人は、進学・転勤など、転居せざるをえない理由を持つ人たちに限られます。加えて、各法人は社員・従業員の転勤自体を減らしています。
また、更には「なんとなく環境を変えてみる」、「もうちょっと広くて綺麗な部屋へ」といったニーズも大きく減少しています。新築物件の有利を語った「新築プレミアム」という言葉も、今や成り立たなくなったのが現状です。
首都圏などでは、分譲マンションの契約率が上がり、中古マンションなどの契約件数も増加しています。賃貸からの乗り換えが増えているのでは、と観測されていることも、さらなる懸念材料でしょう。
「不労所得」から「サービス業の経営」へ
ご入居者へのサービスの視点 |
大家業イコール不労所得。それが通用する時代はもう終わったと考えるべきでしょう。少子化・人口の減少という基礎的環境の中、市況はさらに厳しくなっていくのです。これからは、「賃貸住宅経営というサービス業」を営む視点をもって努力しなければ、成功がおぼつかないばかりか、経営の存続も危うい時代がやってきます。最初にお話しした、「今後も安定が続く賃貸住宅経営」という展望は、この視点の転換ができた大家さんの未来にこそ、ひらけるものであることをしっかりと心に留めておいてください。
では、賃貸住宅経営におけるサービス業の視点、とは、具体的にどんなことを指して言うのでしょうか?どんな心構えが、空室を出さない賃貸住宅経営の実現につながるのでしょうか?こちらについては、来たる賃貸経営繁忙期の時期に合わせ、回をあらためてお話していく予定です。
なお、今年の賃貸住宅経営をめぐる問題として、気になる「更新料裁判」の行方があります。昨年、関西地区における複数の裁判で、更新契約締結の際の更新料の特約につき、「無効である」との判決が示され、いま、このことが多くの大家さんを心配させています。
次回は、この「更新料裁判について考える」をお届けします。