不動産売却・査定/買い換えの基本とテクニック

成功する家の買い換え基礎講座<8> 下取り、買取りってどうなの?

自宅をゆったりと販売している余裕がなくて、業者に「下取り」や「買取り」を依頼する場合があります。後で後悔しないために、業者の動機を理解した上で、これらの仕組みを利用してください。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド


家を買い換えるときに、一番大事なこと、それは自分の家を高く、早く売ることです。そのためには、いろいろな準備と専門家の活用、計画的な行動が必要です。売主としての気持ちの整理も大事です。

何千万円もの商品を売ることは、慣れない方にはたいへんなプレッシャーになるからです。そんな時に、広告や看板で目を引くのが「下取り、買取り致します」というキャッチコピーです。

売る苦労などしないで買い換えを済ませたい!と思う気持ちは誰でも同じでしょう。しかし良く考えないと、不利なことになります。賢い取引をしていただくために、この「下取り、買取り」の仕組みを解説します。

はたして、下取り、買取りを行う買い手側の業者は何を考えているのでしょうか。まず、下取りの3つのケースです。(下取りに出す自分の家を「自宅」、買い換える家を「新居」と呼ぶことにします)

■販売促進のために下取りに協力してくれる場合
客が買おうとする「新居」の売主である不動産業者が、その新居をぜひさばきたいので、下取りをすることがあります。下取り価格はそんなに安くはありません。たぶん、新居の販売に今まで苦労してきたので、分譲の期待利益をはき出してでも、さばきたいのでしょう。

■事業に必要なので下取る場合
実は下取りをして、あなたの物件を手に入れることで、下取り業者が新たな営利事業が行える場合に、下取りをしてくれます。自宅が、開発行為の予定現場に接していたり、次回現場の敷地に面していたりして、下取り業者にとって自宅の値打ちが高い場合です。下取りしてもらうのが、最適な処分方法であるのは、この場合です。

■転売して利益をかせぐために下取る場合
業者に販売力があり、家の転売が得意な場合には、あなたの物件をすぐに転売する商品の「仕入れ」として不動産会社が下取ります。この場合は、厳しい価格になることが多いです。あるいは、目ざとい業者が、自宅を買いたい見込み客をすでに持っていることもあります。

いずれにしても、業者側が、あなたのために損をして、下取りや買取りをするはずがありません。下取りをする側のさまざまな動機がありますが、問題は下取り価格が納得できる数字かどうかです。

あなたが売主として自宅を市場に出すときの値段と、同じくらいの値段で下取りしてくれるなら、喜んで下取りに応じてもいいでしょう。しかし大体は、安くしか下取りをしてくれません。通常なら2割くらい安いと思います。4000万円の査定価格の物件の下取り価格は3200万円くらいが相場でしょう。そのくらいの値幅がないと、下取りをした側のメリットが生まれません。

2割と決まってはいませんが、自分で市場に売りに出すよりも安くなることは当然です。それでも、下取りを利用するには、そのくらいの値幅(手取り金額の減少)に納得できる客側の事情があります。
●他人に知られないうちに、家を売りたい
●一般客を探している時間の余裕がない
●大型物件で、市場価格より下取り価格の方が高い


なお、買取り専門業者という人もいます。乱暴な金融業者等でないことを確認してから、相談してください。車の下取りの世界よりも、けっこう険しい業界です。

特別の事情がなければ、仲介業者に依頼してエンドユーザーに向けて自宅を売りに出すことが一番お得だと思いますよ。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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