今の社会を象徴するトレンドは、超高齢化、少子化、そして離婚の増加です。離婚率は、30年前には婚姻件数全体の約10%でしたが、2000年には約32%にたっして婚姻した夫婦の約3分の1が離婚しています。最近では、夫が定年退職したことを契機に離婚をする「熟年離婚」が増えていますが、もうひとつの傾向は、1年以上5年未満の婚姻期間で離婚する若年離婚が多いことです。

熟年離婚の場合には、住宅ローンの返済も進み、それなりの資産形成ができているので、「離婚→財産分与」が行ないやすいのですが、若年離婚となると、お互いがまだ若く、まして家を買って間もないとなると、買ったばかりの家を手放さなくてはならないことが多くなります。実は私の経験でも、家を買ってまもなく離婚してしまった若夫婦を何組か知っています。

家の購入が離婚のキッカケとなることもあります


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せっかくマイホームを手に入れたのに間もなく離婚してしまう夫婦は今は珍しくありません
家を買うことで、夫婦の絆は強まると思いがちですが、そこにワナもひそんでいます。マイホーム購入が、離婚の引き金になったWさんの話をご紹介します。

Wさんは横浜に住む33歳の男性でした。サラリーマンで年収は600万円。3年前に結婚しました。熱い恋愛結婚の末のゴールインだったのですが、結婚して1年が経つと、お互いのいろいろなミスマッチに気が付きだして、奥様のイライラが始まりました。悩んだWさんは、マイホーム購入を決意しました。家を買うことで、奥様を喜ばせたい!そして、夫婦のイヤな流れを変えたいと思ったのです。

「子はカスガイ」なんて言いますが、こんな時期によく子どもができたりします。熱にうかされるようにして結婚し、「アレッ?これで良かったのかな」なんて疑問がわくころに、うまい具合に子どもができるんです。こうして夫婦の最初の危機が大事に至らないケースがよくあります。しかし、残念ながらWさん夫妻に、コウノトリさんは来ませんでした。

横浜の新築マンションを購入した彼らが仲の良い夫婦に戻れたのは、引越し後のほんの数ヶ月間でした。しばらくすると、関係は悪化します。Wさんがその頃のことを思い出して言うのは、「家まで買ってやったのに!」という傲慢な気持ちが無意識のうちに彼の中に生まれ、その雰囲気に彼女が反発したのかもしれないということでした。結局、彼らは元の鞘におさまることなく協議離婚することになりました。

マイホームの購入自体が計画的ではありませんでしたから、住宅ローンもマンション価格の100%を借りていました。このローンを背負いながら、新しい生活をすることはWさんにはできないことでしたので、このマンションを売却します。売れた値段は新築時の8割でした。ローンはほとんど減っていませんから、不足の2割をWさんの実家から借りて銀行に返すこととなりました。

ローンが残っていれば、まずは売却!


結婚してから5年未満の離婚が一番多いということは、もし家を買っていたときには、このWさんのように、住宅ローンも借りたばかりで、まだまだ借金が残っているという状態が多いでしょう。ローンの返済を続けながら、別れた元夫と元妻の生活が経済的に成り立っていくのなら問題はないでしょうが、なかなかそうはいきません。夫婦の共同生活が、元のふたつの独立した家計に戻るのですから、残された住宅ローンが大きな負担になってきます。

さらに財産分与や慰謝料の支払いなどを考えると、ローンの残っている家を売ってしまうことがシンプルな解決策です。離婚後の幸せな生き方は、過去のしがらみを早く捨てて、前向きに生きることなのです。

家を売るときには、住宅ローンを完済しなければなりません。売った代金では完済できなくても、不足金を借りてでも完済して売却した方が、将来のことを考えると得でしょう。

売っても返せないローン金額を銀行等が貸してくれる場合がありますが、それは次の買い替えにつながる買い替えローンとの組み合わせで可能です。単純な売却で、完済のためのローンを借りるというのはむずかしいです。消費者ローンや無担保・使途無制限のローンを利用する手はありますが、金利が高い上に貸出上限は300万円くらいです。
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住宅ローンが残っておらず、売ってお金に換える必要もなく、むしろ慰謝料として不動産の形のままで相手にあげてしまうというケースもあります。そんなときに、注意することは・・・次のページで!