オトナの距離感には収納も重要
こんなヌックのような一人でくつろげる空間だからこそ、モノに占領されない工夫が必要(写真は三井ホーム「モア・ストーリー」) |
前述の「ルフト」では「だしっぱなし」にしないための収納ポイントとして、床面積でなく壁面積を重視。夫婦共有収納の場合は5平方メートル、個別収納の場合は1平方メートルを目安に掲げ、それぞれの居場所の近くに収納を設けるプランを採用しています。
これまで収納は床面積や収納率(延べ床面積に対する収納床面積の割合)で平面的に考えられることが多かったのですが、最近はこの立体的な壁収納を提案するところが増えています。
限られた床面積を収納にとられることなく、壁を有効活用できるほか、「見せる収納」でセンスもアップ。他のあるメーカーでは、壁収納をスライド式に何層も重ねて「壁」に見立てる新しい壁収納も登場。この場合、従来の収納方式の2倍の収納量が実現できるとされています。
また、お互いが空気のような存在でいられる住まいには、採光や風通し、窓からの眺めなどの存在がより大きくなってきます。「ルフト」の窓計画では、それぞれの居場所が窓に向かって配置され、窓から庭の緑が眺められたり採光で手元を明るくするなど「窓」からの光・緑・風の取り込みを重視しています。
究極の距離感が問われる?「オトナの寝室」
オトナ夫婦の寝室は間仕切り収納などでゆるやかにつなげて(ミサワホーム「ジニアス リンケージ マスターズ」) |
「大人を愉しむ」をコンセプトに2007年7月に発売されたミサワホーム「ジニアス リンケージ マスターズ」も、アクティブシニア(元気なシニア世代)の快適なつながりにスポットをあてています。
LDではほどよい距離感を保ちながら夫婦の気配をつなぐ「センターヴォイド」を提案。夫と妻のエリアをセンター階段でゆるやかにゾーニング。寝室では夫婦それぞれの空間を大切にした「パーソナルベッドスペース」を提案し、相手の気配を感じながらも、それぞれの空間でぐっすり眠れる落ち着いた演出をしています。
オトナは「自分との対話・距離感」も大切
趣味のアトリエやギャラリーが家の中につくれるのも、オトナ夫婦ならではの余裕と愉しみ(三井ホーム「モア・ストーリー」) |
それと同時に「自分と対話する空間」も豊富。「ギャラリースペースやアトリエにもなるロフト」「落ち着いた囲炉裏」「ヌック(一人のスペース)」「趣味や仕事に没頭できる離れ」「サウナや畳コーナーを備え、バスタイムの後をくつろぐリラクゼーションルーム」など、自分の趣味や理想の働き方・くつろぎ方を形にし、「ひとり時間」も存分に味わえるプランが提案されています。
オトナ夫婦の上質な時間を演出する住まいは、「夫」「妻」「自然」「自分」との微妙な距離感がひとつのポイント。団塊・熟年夫婦でなくとも、こうした距離感を空間で演出する手法は、若い夫婦にとっても大いに参考になりそうですね!
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【関連リンク】
・ロングライフ住宅研究所調査「子育てを終えた夫婦2人の居場所~大規模訪問調査にによる住まい方の実態」 (PDF)
・旭化成ホームズ「ヘーベルハウスLUFT」
・ミサワホーム「GENIUS Link-Age masters」
・三井ホーム「MoreStory」