いま戸建て業界は「平屋ブーム」?!

庭の土イメージ
定年後は庭の土をいじりながら、ゆったりと……。「土に近いところで暮らしたい」と望む団塊世代は2割近くにのぼる
ハウスメーカーを中心に、平屋建て(一階建て)住宅が次々と発売されています。

言うまでもなく、定年を迎え始めた団塊世代やシニア世代の建て替え、住み替え需要を期待したもの。とくに最近では大都市から地方へのUターン、沖縄などリゾートライフのニーズを見越して、敷地に余裕があるからこそ味わえる「平屋」を提案する動きも強いようです。

現在の「平屋ブーム」が口火を切るきっかけとなったのは、2006年秋に積水化学工業の調査研究機関「住環境研究所」が行った調査「老後の理想の住まい」。全国の55~65歳男女に行った調査結果では、世代全体では男女とも平屋が42%、マンション39%と、「ワンフロアで生活できる住まい」へのニーズは高かったものの、興味深いことに男性は「平屋住宅」派、女性は「マンション派」とはっきり志向が分かれました。
老後の住まい調査
老後の理想の住まいは、「男性=平屋(戸建て)」「女性=マンション」と性別ではっきり分かれる傾向に(出典:住環境研究所「老後の理想の住宅」調査)


ワンストーリーハウス外観
高気密・高断熱のツーバイシックス工法で「平屋」のメリットを強化したセキスイハイム「グランツーユーー・スイートワンストーリーハウス」の外観
このことは業界でも話題になり、当時2007年問題を控え、団塊向けにどんな住宅を提供したらいいか模索していた答えの一つに、「平屋」が大きく浮上したのです。積水化学工業はこの調査発表直後に「グランツーユー・スイートワンストーリーハウス」(ワンストーリーハウスは英語で平屋の意味)を発表。従来の平屋でネックになりがちだった断熱性や空気質の課題をクリアし、車椅子動線シミュレーションやエイジレスキッチン・バスなどの提案を盛り込みました。
杜の平屋外観
英国風・和風・邸宅風など、50代以上に定評のある外観デザインを平屋にアレンジミックスした三井ホーム「モア・ストーリー」(写真は杜の平屋タイプ)。

その後、今年2月に住友林業が「マイフォレスト-グランドライフ」を発売。「人が集まる」「趣味を楽しむ」「個を尊重する」「リゾートライフ」「和で四季を楽しむ」「時間を共有する」「大型収納」――といったシニア世代の7つのライフスタイルを提案しました。

その2ヵ月後の4月には三井ホームの「モア・ストーリー」が登場。都市部向け「街の平屋」と郊外向け「杜の平屋」とに分け、「街の平屋」では中庭や人を呼びやすい機能的キッチン、「杜の平屋」では囲炉裏や離れ、ヌック(一人のスペース)などが、それぞれの立地と特性を生かしながら提案されています。

1.5階建てや2.5階建てなど半階フロアも登場

シアターリビング
平屋の「あともう一部屋」というニーズに応え、小屋裏空間をシアターリビングなどの“篭り部屋”に(写真協力:セキスイハイム)
これに続いて、平屋で先陣を切っていた積水化学工業は5月、平屋をさらに進化させた「ドマーニ コンファティック1.5スタイル」を発表。平屋を平面的にとらえず小屋裏空間などで立体的に考え、従来まで収納スペースが主だった小屋裏空間を「居室」として提案。小屋裏空間をシアターリビングやトレーニングルームなどに利用し、団塊世代の「あともう一部屋」ニーズにこたえています。

さらに、今年9月にはパナホームが「ふたりスタイル」を発表。ワンフロアによる安全で快適なシニアライフを実現するアイテムの提案、松下グループのユニバーサルデザインを随所に採用し、同社が得意とするオール電化仕様や長期間メンテナンスのいらない光触媒タイル・ガラスなどを提案しています。

……と、平屋だけみても枚挙に暇がありませんが、これだけの新商品が発売された2007年は住宅業界にとって「平屋の1年」ともいえるでしょう。では、最近の平屋商品を見てきたところで、次ページでは、この平屋ブームの背後にある時代と社会背景などについて見てみましょう。