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最近は総合住宅展示場でもイベント型で集客を図りつつある |
住宅展示の王道であり続けた総合住宅展示場は、どうしてもお客様自身から足を運んでもらわないことには、営業も提案も説明もできないという側面がありました。そのためチラシやDM、フリーペーパーなどでの広告が集客手段でしたが、需要が低迷しつつある中で、お客様をより積極的に呼び込む「攻め」の姿勢に各社打って出ているようです。
バス見学会や工場付設の大規模見学施設が次々
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建築中から見学できる三井ホーム現場見学会。同社は5月中旬から全国で「お住まい見学会」を予定 |
前回も話したような街角展示場や現場見学会の場合、普通の街なかに建っているため、駅から歩くなどしなければいけません。このため、主要駅やホテルなどでいったん集合した後にバスで現地まで連れて行ってくれる「バス見学会」が、ハウスメーカーに限らず工務店などでも増えています。見学者にとっては移動の手間が省けるだけでなく、複数家族で見学するので情報交換ができたり、1対1で営業されるという不安も軽減されるといったメリットもあるようです。
さらに、展示場に代わる場として増えているのは、プレハブメーカーを中心とした工場に併設した大規模な見学施設。
積水ハウス「住まいの夢工場」(全国6箇所)や
積水化学工業「住まいのなるほど見聞館」、
ミサワホーム「ミサワパーク」や
パナホーム「住まいとくらしの情報館」などがあります。
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工場併設の広い敷地を生かした大規模見学施設も増加(セキスイハイム「住まいのなるほど見聞館」)
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プレハブメーカーの場合は工場でユニット化するなど、ある程度組み立てて施工現場に運ばれるため、細部の構造がどう組み立てられるのかまでは現場見学会で理解するには限界があります。工場見学施設はそうした細部にわたる構造面や性能の仕組み、環境等への企業の取り組みがトータルに詳しく説明できるほか、体感型の防災テーマパークがあったりと、広大な敷地を存分に使った展示施設が可能になります。
単独1社で大規模集客イベントも
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構造の実大実験など間近で実際に見られるのも大規模イベントならではの醍醐味(写真提供:住友林業「住まい博」) |
さらには東京ビッグサイトなどの大規模施設を使って、独自の集客イベントを行うメーカーが増えています。
住友林業の「住まい博」などはその先駆的存在。2001年からスタートし、当初は東京・大阪・名古屋の主要都市で年1回開催していましたが、今年は支店やエリア単位で全国展開の予定。場内には実物大の構造モデルもあり、その企業の歴史や技術力、理念や新商品、社員の雰囲気などがトータルに分かる場になっています。
三井ホームも「住まいのEXPO」を開催。住友林業も三井ホームもプレハブメーカーのようなプレハブ工程工場を持たないこともあり、こうしたイベント型にいち早く注力したという見方もできますが、こうした単独イベントは実物大の構造躯体や免震装置の体験、防犯ガラスを実際に割ってみたりできるなど、来場者参加型の「見て、触れて、体験できる」点が魅力のようです。
一方の総合展示場も手をこまねいているわけではありません!
次ページでは、ある総合展示場のユニークな試みを紹介します。