週末住宅こそ外観に気をつけたい
ガイド 建築家によって週末住宅に対する設計の考え方は違うと思いますが、鈴木さんの場合、どう考えているのでしょうか?傾斜地から絶景の浅間山がのぞめる、コンパクトなセカンドハウス。ソファにゴロッとして眺めるのがいいのだとか |
「よく別荘地で友人に見せびらかせようと言わんばかりの奇抜で目立つ外観を見かけますが、これはエゴの塊……(笑)。セカンドハウスは自然豊かなところでしょうから、周辺の自然や環境・風景に馴染むものにしたいですね。私自身は落ち着いた色の板張りにすることが多いです」
ガイド 室内のデザインや色についてはどうですか?
秋の紅葉も絵になる小川近くのセカンドハウスは、お母様を考慮して平屋建てに |
「また外観は先ほど風景に馴染むようと言いましたが、やはり一方では、人間がつくったものとしての主張もしたいので、自然界にはないカタチ~矩形のデザインによって、風景に豊かに馴染むような表現ができないかも考えています。整形デザインは何より使い勝手もいいですし、無駄なコストもかかりません。この矩形を自然と調和させながら豊かに空間表現していくことは、私の建築家としてのテーマでもありますし、ひいては建て主の方にとっても何よりのメリットと考えています」
新しい世代間同居としての役割も
こんなペレットストーブを置いてその佇まいを楽しめるのもセカンドハウスならでは |
「ええ。新しい家族を連れてきてもらうにも、都会ではスペース的になかなか難しい。二世帯住宅がほぼ定着し、今はその二世帯住宅で育ったお子さんが結婚して家族をつくる時代ですから、今度は三世帯住宅?ということになります。そこで『新しい世代間同居』という形のセカンドハウスが求められてきているのではないでしょうか?」
「その意味でもセカンドハウスは、独立したお子さんたちと一同に会すきっかけになりますし、お孫さんも一緒に、となるでしょうし。今や共働きが当たり前の時代ですから、父子だけでなく、母子だって、そして夫婦間も一緒に過ごす時間が短くなっています。だからこそ、そのための空間が必要なのであって、私が手がけるセカンドハウスは、個室は最低限で、ほとんどワンルームに近い構成になっていますね」
「セカンドハウスこそ長く愛着をもってメンテナンスしてほしい」と語る鈴木氏 |
「建物は建てたら終わりでなく、始まりです。特に厳しい自然に建つセカンドハウスを、時を経てますます風景になじみ味わいのある建物にしていくには、メンテナンスや辛抱強い愛着が必要です。家族が日常以上に一つになれる場所として、自宅以上に見守り続けて欲しいですね」
ガイド ありがとうござました。
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