内装建材/内装建材の基礎知識・選び方

内装タイルの種類と特徴&選び方のポイント

水まわりの素材として馴染みのあるタイルですが、最近では、リビングや寝室などに用いるプランもみられます。ここでは、内装タイルの種類と特徴、選び方のポイントをまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

耐候性、防火性、防水性に優れた素材

レンガをイメージした質感によって、存在感のあるキッチンに。 [インテリアモザイクundefinedリトルブリック]undefinedLIXIL http://www.lixil.co.jp/

レンガをイメージした質感によって、存在感のあるキッチンに。 [インテリアモザイク リトルブリック] LIXIL

本来タイルとは、張り付けて使用する小片状の薄板のこと。陶磁器タイルはもちろん、プラスチックタイル、タイルカーペットなど製品は多岐にわたりますが、一般的に、タイルといった場合、イメージするのは陶磁器のタイルでしょう。

水まわりの壁や床に用いる素材としてポピュラーな陶磁器のタイルは、耐候性、防火性、防水性に優れた仕上げ材。酸やアルカリなど薬品にも強く、耐摩耗性もあり、メンテナンスも楽なのが特徴です。デザインバリエーションも豊富で、好みに合わせコーディネートを楽しむことができるのも大きな魅力。最近では、さまざまな機能を持たせたタイルも提案されています。

陶器質・せっ器質・磁器質。施釉タイルと無釉タイルも

タイルは、素地質によって、陶器質、せっ器質、磁器質に分けられ、また、うわぐすりの有無によって、施釉タイルと無釉タイルにも分類することができます。

陶器質は、陶土や石灰などの原料を1,000~1,200℃で焼成したもの。寸法精度がよく、美しい色やデザインを施している施釉タイルです。やや吸水性があり、たたくと濁音がするのが特徴でしょう。せっ器質は、粘土や長石などを1,200℃前後で焼成したもの。磁器質に比べて、やや吸水性があります。磁器質タイルは、石英や長石などを1,200~1,350℃で焼成したもので、たたくと金属音がします。吸水性はほとんどなく、耐凍害性、耐磨耗性に優れたタイルです。その他、素焼きの風合いが魅力のテラコッタタイル、ガラスタイルなども多くみられます。

正方形だけでなく長方形やモザイクも。大きさ、形状ともに多種多様

タイルにはさまざまな大きさや形があり、100角、200角などが正方形のタイプ(それぞれ100×100ミリ、200×200ミリ)。210角(100×200ミリ)といった長方形のタイプもあります。モザイクタイルと呼ばれる小型のタイルにも、さまざまなデザインが増えてきています。また、輸入物のタイルも豊富に揃い、身近なアイテムとなりましたが、サイズや厚みなどが国産とは異なることもあるので、プランニングの際には注意が必要です。

商品としての分類方法はさまざまですが、メーカーのパンフレットやショールームには、水まわり用、床用・壁用など、適している部位を記号などで明記してありますので、それらの表示を確認して選ぶことが大切でしょう。

さまざまな機能を付加したタイルも。使用する場所に適したタイルを選ぶ

あたたかみのある素材感が空間にナチュラルな雰囲気を生み出す。 [エコカラットundefinedGシリーズundefinedグラナス ヴィスト]undefined LIXIL http://www.lixil.co.jp/

あたたかみのある素材感が空間にナチュラルな雰囲気を生み出す。 [エコカラット Gシリーズ グラナス ヴィスト]  LIXIL

選ぶ際には、色やデザインだけでなく、性能面、機能面を確認し、用いる場所に適したタイルを選ぶこと。たとえば、バスルームの床材などであれば、滑り止めの加工を施したタイルを。幼いお子さんや高齢の方がいらっしゃるご家庭では特に配慮をしたいものです。また、タイル特有の冷たさを抑え、足ざわりがあたたかい機能を持つものなどもみられます。

リビングや寝室などに取り入れる場合は、快適な空気環境を生み出す機能を持つタイルもいいでしょう。たくさんの微細な孔を持たせることで、部屋の湿度を調整、結露やカビ・ダニの発生を抑えるものです。お客様を招く部屋やペットのいる空間などにも向いています。また、床暖房を取り入れるなら、対応したタイプを選ぶことも必要です。

そのほか、清潔さを保ちたい洗面室などには、抗菌効果と防汚・防臭効果を持つものなどもありますし、目地のない大判セラミックに抗菌作用を施した、ニオイや汚れを防ぐトイレ専用床材もみられます。

空間別タイルコーディネートのポイント

■キッチン
キッチンでは、カウンター前の壁などにタイルを用いるプランがみられます。限られたスペースなので、シンプルなデザインの方がすっきりとまとまりますが、モザイクタイルを用いてアクセントとしても。また、カフェのようにカウンターに取り入れるケースもあるでしょう。いずれも、選ぶ際には、キッチン扉や床材とのバランスはもちろん、オープンなキッチンであれば、リビング・ダイニング空間とのコーディネートを。掃除のしやすさなども配慮しておきたいポイントです。

■バスルーム
システムバスではなく、現場施工型のバスルームの場合にタイルを用いるケースが多いでしょう。床タイルと壁タイルは同じ色、もしくは同系色でまとめるのが一般的。バスタブにつかって視線の向く壁面、シャワー水栓などを設置する壁面に異なるタイルを用いて変化を持たせても。バスタブの色とのコーディネートもポイントなので、機器選びとタイルを同時に検討することが大切です。

■洗面
洗面で多くみられるのは、洗面ボウルを設けたカウンター前の壁面に、アクセントとして取り入れるプラン。また、カウンターにタイルを使用する場合もあるでしょう。限られた空間なので、大きめのタイプよりも、小さめのサイズを。モザイクタイルなども適しています。洗面ボウルとのコーディネートに配慮して、照明の光などで美しさが際立つタイプを選んでもいいでしょう。

■居室
室内と屋外を同じ色のタイルでつなぐことで広がりが生まれる。[スタイルプラスundefinedテクノタイル]undefinedLIXIL http://www.lixil.co.jp/

室内と屋外を同じ色のタイルでつなぐことで広がりが生まれる。[スタイルプラス テクノタイル] LIXIL

居室の壁に取り入れる場合は、タイルとつながる壁部分の素材(クロスなど)を意識して。同系色として統一感を持たせるか、空間のアクセントとなるような色柄を選んでもいいでしょう。

また、床に用いるのであれば、フローリングなど他の部分の床材はもちろん、壁材などに合わせて検討を。最近では、屋外空間のテラスとつなげてタイルを床に用いるプランもみられ、同じシリーズで屋内用と屋外用を揃えた商品も揃っています。

ショールームや見本を取り寄せるなどして実物の確認を

タイルは、その風合いや色調の美しさ、デザインの多彩さなど、多くの魅力を持つ素材。機能性やデザイン性の高い製品も多くみられ、水まわりだけでなく居室の内装素材としての利用も広がってきました。

選ぶ際には、ショールームや見本を取り寄せるなどして、必ず実物を確認すること。色味などを確認する場合は、壁に使用するのであれば立てて、床に用いる場合は置いて、それぞれチェックを。照明による違いなども確認しておくといいでしょう。また、さまざまな機能が提案されていますが、商品によって、その効果は異なります。具体的にどのような機能があり、効果が期待できるのか、お手入れ方法やメンテナンスの方法なども含めて、事前に確認することも重要でしょう。


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