窓・サッシ・玄関ドア/窓・サッシの基礎知識と選び方

風を上手に取り込んで快適に暮らすための窓選び

換気や空調機器のプランニングも重要ですが、できる限り自然の風を上手に取り込んで、快適に暮らしたいもの。ここでは、効率のよい通風を確保するために知っておきたい窓プランの基礎知識をまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

心地よい住まいとするためには、自然の風を上手に取り込むことは重要なポイントのひとつ。風通しの良い住まいは、快適さだけでなく、湿気を防ぎダニやカビの発生も抑えるものです。もちろん、換気や空調機器などのプランニングも重要ですが、ここでは、効率のよい通風を確保するために、知っておきたい開口部(窓)の取り方、間取りプランの考え方をまとめました。

[写真協力] YKK AP 

風の向きを把握することから

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大きめの窓を取り入れて、爽やかな風を室内に。 [APW501 片引き窓テラスタイプ/APW330 片引き窓]

風通しのよい住まいをつくるためには、家を建てる地域特性と周辺環境を知ることが大切です。出来る範囲で、地域ごとの風向き、季節風の特徴など確認してみること。敷地のご近所に暮らす方に伺ったり、気象庁の気象観測データなどを参考にしてもいいでしょう。隣家が迫っていたり、マンションなどに囲まれていて風が通り抜けにくい、というケースもあるので、詳細は設計担当者に相談を。現在住んでいる家を建て替える場合は、風向きや強さの特徴など、事前に設計担当者に伝えておくといいでしょう。

風を取り入れるには、入口と出口を設けることが基本

自然の風を上手に取り入れるためには、大きな窓をひとつプランニングすればいい、というものではありません。いくら大きな窓を設けても、出口がないと風は通り抜けないからです。新鮮な空気を取り込むためには、汚れた空気を排出することが必要。つまり、風がスムーズに流れるような入口と出口を確保することが大切なのです。地域ごとの風向きに合わせて、風上に風の入り口を、風下に風の出口をつくることが重要です。

基本は、入口と出口である、ふたつの窓を風が流れやすいように、部屋の対面に設けること。できれば入口と出口がある程度、離れている方がいいでしょう。また、上下に開口部を設けることでも風は通り抜けやすくなります。暖かい空気は上部の開口部から抜けるので、天井近くに設けた窓やトップライトなども効果的。水平(横方向)の通風プランだけでなく、垂直(縦方向)の確認も忘れずに。どうしてもひとつの面の壁にしか開口部を設けられない場合は、床面近くと天井近くに入口と出口を設け、縦に風が流れるようにしましょう。

設置する場所に適した形状やデザインの窓を

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FIX窓の両側にたてすべり出し窓の吊り元を方立にした窓。 風を積極的に取り込む。 [APW430ウインドキャッチ連窓]

窓を設置する場所によって、風を取り込みやすい形状やデザインの窓を選ぶことも大切でしょう。たとえば、庭につながる窓には、全開口タイプを設け、たくさんの風を取り込んだり、プライバシーが気になる場合は、細めの滑り出し窓などを並べてもいいでしょう。

外側に開くタイプの窓であれば、外壁に沿って流れる風を室内に取り込むことも可能。設置する場所の風向きによっては、引き違い窓などよりも風が入る場合もあります。さまざまな形状の窓があるので、風を取り込みやすい形状を検討しつつ、設置場所に合わせた機能を持つタイプを選ぶようにしましょう。

換気に配慮したい水まわり。網戸にも配慮を

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無段階で動くルーバーの角度により、通風や採光を確保。[多機能ルーバー]

水まわりは、通風に加え、換気を重視したいスペースです。特に、北側にプランニングされることの多い洗面室や浴室などは、防犯面やプライバシーも気になる場所だけに、充分に検討を。天井近くの高い位置に窓を配置したり、ジャロジー窓などが用いられることが多いでしょう。周辺環境によっては、窓の外側に可動ルーバーを設置することもひとつの方法。通風と採光を確保することが可能です。

また、窓をプランニングする際には、網戸も一緒に検討することになります。最近では、網部分に工夫を施し、風が通りやすいタイプの網戸もみられるので、形状や操作方法と同時に、通風に関する性能も確認しておくことも大切でしょう。

引き戸やルーバータイプの扉などで家の中にも風を通す

窓を上手に配置しても、住まいの中が風を遮るようなプランになっていては意味がありません。取り込んだ風を効果的に行き渡らせるには、できるかぎり開放的な間取りとするのが理想です。室内扉を選ぶ際には、たとえば、開け放すことができる引き戸としたり、ルーバータイプの扉、開閉できる欄間(らんま)などを取り入れることで、家の中に風が通り抜けるでしょう。

また、部屋を仕切る際には、可動間仕切扉として開放できるようにしたり、格子状の間仕切建材などを用いて緩やかに仕切るプランとしても。その他、階段に蹴込み(けこみ)板のないものを選んで、できる限り空気が滞留しないようにするなど、部屋全体、家全体に風が通るようなプランニングを心がけることがポイントです。

風を取り込むことができる窓シャッターや玄関扉

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自然の風を取り込む通風ドア。防犯やプライバシーにも配慮。 [ヴェナート]

通風を確保したいけれど、防犯面が心配、という場合もあるでしょう。夜間だけでなく、たとえば、2階リビングの場合などであれば、在宅していても階下が締切状態となり、湿気が溜まってしまうというケースもみられます。

たとえば、換気機能のある窓シャッターや雨戸などを用いたり、換気のできる玄関や勝手口ドアを選んでもいいでしょう。防犯面はもちろん、隣家が迫っていたり、プライバシー確保が難しい場合などに検討したいアイテムです。

間取りと窓プランは同時に検討する

風の入口や出口を考慮しなければならない窓のプランは、間取りと大きく関わるものなので、同時に検討することが重要です。たとえば、中庭を設けることで、中庭を囲む部屋の壁面に窓を設けることができたり、吹き抜けのあるプランとすることで高い位置からの風を取り込むこともできるでしょう。

また、敷地全体に風が通り抜けるように、風通しのよい形状のフェンスを選ぶなど、外まわりのプランまで影響することも。風を上手に取り込むには、敷地の環境に合わせ、住まい全体をトータルで検討することが重要です。


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