操作方法がわかりやすく楽なユニバーサルデザインの設備機器
適材適所の手すり配置で移動のしやすさに配慮したバスルーム。[戸建向けシステムバスルーム サザナ] TOTO
ユニバーサルデザインとは、年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、すべての人々が気持ちよく使うことができる、誰にとっても使いやすいというもの。さまざまな考え方がありますが、住宅設備機器や建材を使い手からみたときには、以下のような工夫や配慮が施されたものになるのではないかと思います。
操作方法がわかりやすく(表示もわかりやすく)、操作が楽で、簡単なこと。無理な姿勢を必要としないこと(身体にやさしいこと)。移動が楽なこと、お手入れが簡単なこと。もちろん、有害なものではなく、安全で、安心して、長く使うことができること。このような要素を組み込んだ商品は、水まわりや建材など多岐にわたります。
バスルームまわり 使い勝手のいい水栓や手すり
住まいの中でも、安全性が気になる場所と言えば、まず、バスルームが挙げられるでしょう。新築やリフォームで多く取りいれられるシステムバスにも、さまざまな工夫を施した商品が多くみられます。たとえば、滑りにくい床、手すりやバーなどは当たり前になってきていますし、操作しやすくデザイン性にも優れた水栓金具や手元で出し止めできるシャワーなども揃っています。バスタブは出入りがしやすく、ゆったりと寛ぐことができるような工夫もみられます。
また、出入り口の床の段差を無くし、つまずきを防ぐもの、出入りしやすく万が一の事故に対応しやすい3枚引き戸などは、介護が必要になった際にも使い勝手がいいものでしょう。
トイレ・洗面 自動洗浄トイレや見やすい操作パネル
インテリア・バーやアームレストを備えたトイレであれば動きも楽に。 [ネオレストRH] TOTO
機能としては、便座の自動開閉や自動洗浄のトイレなどは、誰もが快適に使うことができるでしょう。また、温水洗浄便座のリモコンや操作パネルを見やすくしたもの、自動点灯の照明器具や夜に使用する場合を考慮して、ほのかに明るい照明がともるものなども。掃除が楽な便器も増え、お手入れの手間の軽減が図られています。
洗面化粧台は、ゆっくりと座って身だしなみを整えることができるタイプ、出し入れしやすいように昇降する上部収納ユニットなどがみられますし、操作しやすい水栓金具なども揃っています。
キッチンまわり 出し入れしやすい収納や操作が楽な水栓
キッチンまわりでは、安全性はもとより、作業や操作が楽に、簡単に行えるものが多くみられます。たとえば、作業動線に無駄のないキッチンプラン、座って調理することのできるシステムキッチンなど。無理な姿勢をとる必要がなく、軽い動作で開閉できる引き出し式の収納ユニットや昇降機能を持つ上部収納ユニット、タッチレス水栓や足元スイッチなども作業を軽減するものでしょう。その他、コンロやレンジ、食器洗浄乾燥機など、ビルトイン機器は、いずれも機能性がアップすると同時に、操作性への細かな配慮がみられます。操作部分の位置やパネル画面の見やすさはもちろん、操作を音声で指示してくれる加熱機器なども揃っています。
内装建材 使いやすい階段手摺、移動が楽なエレベーター
インテリアに馴染むデザインのホームエレベーター。 [ホームエレベーター] パナソニック エコソリューションズ
また、上下移動を楽にする機器であるホームエレベーターも、さまざまな商品が揃っています。省スペースタイプ、リフォーム向けの商品もあるので、家族構成やライフスタイルによっては考慮してもいいでしょう。その他、玄関まわりでは、座って靴を脱ぎ履きできるようなベンチユニットなどを組み込んでおくと使い勝手のいいものです。
窓・扉 開閉しやすい扉、指挟み防止機能なども
玄関扉や室内扉、窓などは、日々家族が使用する建材には、開閉しやすく操作しやすい商品が多く揃っています。玄関扉であれば、使い勝手を高めたキーシステムが提案されているので、家族構成やライフスタイルに適したタイプを選ぶことが可能。開閉動作が楽に行えるレバーハンドルやバーハンドルなどもみられます。室内扉は、あまり力をかけずに開閉でき、床に段差のない上吊タイプの引き戸、自動で開閉する扉やスペースを有効利用できる折れ戸など。ゆっくり開閉するタイプであれば、指を挟みにくく、開閉時の衝撃音をおさえることもできるでしょう。
窓サッシも同様に操作性や施錠方法などが高まっており、開閉しやすい大型の把手、指挟み防止機能などがみられます。掃き出し窓の場合であれば、室内外の段差にも注意が必要。段差の少ない枠のサッシを選べば、屋内外の出入りがしやすくつまずくこともないでしょうし、車椅子の移動も楽に。その他、雨戸の開閉の手間を軽減する電動タイプの窓シャッター商品も充実してきています。
照明・空調 温度差を軽減する暖房機器、センサー付照明など
日常的に用いるスイッチには、オンオフが簡単にできる大きさや形状のタイプがみられます。玄関や廊下、階段などには、センサー付きのタイプを取り入れても。また、省エネ・長寿命のLEDもバリエーションが増え、設置する場所に合わせて選びやすくなってきています。その他、室内温度に配慮しておくことも重要です。部屋ごとの急激な温度差は身体に影響を及ぼすもの。住まい全体はもとより、特にバスルームには、快適な温度に保てるように、浴室暖房乾燥機なども検討したいものです。
このように、ユニバーサルデザインの設備や建材は多くみられますが、自分にとってもわが家にとって使いやすいものをしっかりと見極めるためには、ショールームで実物を確認し、試してみることが重要。ユニバーサルデザインを集めた展示をしているケースもあるので、操作したり、体験してみることをお勧めします。誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインの工夫の中から、ライフスタイルや家族構成の変化などを考慮しつつ、わが家の優先順位を決めて選ぶことが大切でしょう。
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