マンション物件選びのポイント/マンションの構造・耐震性

能登半島地震で全半壊した家の特徴は?(2ページ目)

3月25日に能登半島沖で発生した「能登半島地震」。26日午後8時現在で全半壊・一部破損の家屋は786棟にのぼります。現段階で読み取れる、全半壊した家の共通した特徴をピックアップします。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

木造在来工法は地震に弱いの?

ホールダウン金物の例
四隅の柱はホールダウン金物でしっかりと土台に緊結します。最近では基準が厳しくなっています。
今回の地震でもそうですが、阪神淡路大震災などこれまでの大地震で全半壊した住宅は、日本古来からある木の柱・梁の軸組による在来工法で建てられた古い住宅に多くみられました。在来工法と対峙する言葉としてツーバイフォー工法があります。ツーバイフォー工法は北米から来た工法で、壁・床は構造用合板やボードなどで強固に固定され、壁全体で力を受け止めるため、耐震性があるとされています。

日本古来からある工法が地震に弱いとされ、外国から来た新しい工法が地震に強いとされる、それは本当なのでしょうか?

筋交いの不足、耐力壁のバランスが悪いもの、接合部に金物がないもの、さらには老朽化……それらの条件が重なるほど地震の被害が大きくなります。そして、古い住宅にそうしたものが多く見られることは否定できません。

しかし、今までの教訓を生かし、2000年に改正された建築基準法では、基礎の仕様、筋交い端部の接合、耐力壁両脇の柱への接合、4分割法による耐力壁の配置バランスなどが盛り込まれました。2001年以降に建てられた在来工法の建物は基本的に大地震にも耐えられる仕組みになっています。

また、今回のニュースでも、古い工法で建てられたものでも、耐震補強を行ってきた建物は倒壊しなかったと報じられています。適切な耐震補強によって、耐震性のある建物にすることは可能なのです。

建物の崩壊を防ぐために耐震診断と耐震補強を!

阪神淡路大震災では木造住宅約15万棟が大きな被害にあい、震災によって亡くなられた6400人のうち、約80%が木造住宅の倒壊による圧死でした。反対に、きちんと耐震補強を行っていれば、それだけの方の命が助かったともいえるのです。

大地震があるたびに耐震補強の大切さを感じつつ時間がたつと忘れてしまうものですが、不幸にも起こってしまった今回の能登半島地震を教訓にして、ぜひいまいちど住まいの耐震性について考えてみてください。

最後になりましたが、今回の被災地の早い復興をお祈り申し上げます。

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