マンション物件選びのポイント/マンションの構造・耐震性

能登半島地震で全半壊した家の特徴は?

3月25日に能登半島沖で発生した「能登半島地震」。26日午後8時現在で全半壊・一部破損の家屋は786棟にのぼります。現段階で読み取れる、全半壊した家の共通した特徴をピックアップします。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

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今回の地震の震源は石川県能登半島沖でした。
今回の地震の震源は石川県能登半島沖でした。気象庁は26日、名称を「平成十九年(2007年)能登半島地震」と決定。
3月25日に能登半島沖で発生した能登半島地震は、石川県輪島市などで震度6強、能登町などで震度6弱を観測(気象庁26日発表)し、全半壊や一部損壊した家屋は786棟に上る(総務省消防庁26日発表)とのことです。

現段階ではテレビ、新聞などの報道でしか全半壊した建物の様子がわかりませんが「ある共通点」は見いだせます。詳細な原因は今後の調査報告が待たれますが、今現在でわかるその共通点についてみてまいりましょう。

瓦屋根の古い家屋が多い

屋根が重いと耐震性上はマイナスとなる。
屋根が重いと耐震性上はマイナスとなる。最近はスレート葺、金属葺などの軽い屋根材が多い。
テレビ、新聞などで全半壊した家をみると、そのほとんどが重い瓦葺(かわらぶき)の屋根だということがわかります。そして崩れた壁の下地には昔ながらの竹小舞(たけこまい)もみられました。土蔵壁の下地に良く使われた伝統的な工法で、古い家に多く見られます。そのほかの部分でも、崩壊した家の様子などから、多くが築年数のたった古い家のようでした。

古い家の場合、筋交いなどがしっかり入っていない場合があります。屋根が重く、筋交いが不足した状態で、かつ老朽化が進んでいた状態だったのではないかと推測されます。

1階部分が斜めに倒れている

筋交いの図。
柱と梁の間に斜めにかかる構造材を筋交いといいます。材と材をつなぐ役割をしますが、上下の端部の接合が甘く、引き抜けてしまう例が多く見られます。
1階部分が完全に倒壊している建物の他に、1階部分の壁が斜めになって今にも倒れそうになっている家がたくさんあります。こちらも筋交いの不足に加え、南面や道路面に開口部が多く、「耐力壁の偏り」が原因だと考えられます。

筋交いが入っていたとしても、地震時にそれが抜けてしまい、機能しなかったことも考えられます。阪神淡路大震災でもそのような「筋交いの端部の接合不足」が指摘されています。

液状化現象が起こりやすい地域

今回の被災地では液状化現象も見られています。液状化現象とは、主に海岸や川などのそばで比較的地盤がゆるい土地において、それまで砂と水分がお互いにくっついていたものが、地震によって分離し水分が地面まであがってくる状態をいいます。雨のグラウンドでどんどん踏み固めると水分がじわーっとあがってくる状態に似ています。

地震によって液状化現象が現れると、建物は傾き、道路は陥没し、マンホールは浮き上がります。建物自体が壊れなくても足元が崩れるため、家として使用ができなくなります。今回の被災地はそのように、もともと地盤が多く水分を含む土地だったと考えられます。

それでは次のページで、在来工法は地震に本当に弱いのか?を考えてみましょう。
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