1981年以降の新耐震基準に沿って造られたものでも次に該当するものは要注意です。
地盤沈下や不同沈下を起こしやすい土地に建つ
液状化でマンホールが持ち上がった道路
2007年に発生した能登半島地震(最大震度6強)では液状化現象が起こり、道路の陥没、建物の倒壊などを引き起こしました。液状化現象とはもともと地盤に多くの水分を含む土地におこる現象で、地震によって砂と水分が分離して水が地面まで上がってくる現象を言います。川や海に近い比較的地盤のゆるい土地に起こりやすいと言われています。たとえ建物がしっかりと造られていても、足もとが崩れてしまったら大変なことになります。
マンションの天井に亀裂が!
コンクリートのひび割れ(イメージ)
過去の事例ですが、2004年に完成した三重県の分譲マンション(鉄筋鉄筋コンクリート造地上15階建て)のコンクリート製の天井に無数の亀裂が生じる事件がありました。分譲した大手不動産会社が建築上のミスを認め、部屋の買い取りを提示したとのことです。この件でわかることは、
・「大手の会社が造ったら安心」といえる時代ではなくなった。
・1981年以降に確認申請を受けたからといって必ずしも安心してはいけない
ということです。
ヒビなどの異常がないかチェックを
また、このケースでは天井のコンクリートの亀裂に気がついたことが発端でしたが、もしコンクリートの上に内装仕上げを施す2重天井の造りであれば、隠れてしまい発覚が遅れたかもしれません。コンクリートは水を含むため、打設後年月とともに乾燥して収縮することがあります。細かなヒビが入っていたからといって即危ないということではありませんが、そのまま放置して水が内部に入り込むと鉄筋がさびる原因となり、耐震性に影響が出てしまいます。亀裂が小さいもの(目安として0.3~0.5ミリ以下)を発見したら、補修を行い様子を見ます。再度亀裂が生じたら専門家に相談してみましょう。
マンションにお住まいの方は、日頃から建物にヒビやその他の異常がないか、チェックしていただきたいと思います。
新耐震基準のマンションでもしっかり備えを
もし新耐震基準でしっかり造られたマンションでも、大きな地震で建物が揺れて家具が転倒してしまうと大けがをする可能性があります。建物が頑丈だからと安心せず、地震時に転倒の可能性のある家具は早めに固定しておきましょう。地震に耐えられるマンション
そのマンションの地盤が軟弱ではないこと、地盤にあう基礎形状で造られていること、建築基準法の新耐震基準にのっとりきちんと施工してあること、または古くても耐震診断により耐震性があると証明されたマンションであること、もしくは必要な耐震補強を済ませていること。その上で、家具の転倒防止策を取っておくこと。これらがクリアできていれば、あなたのマンションは地震に耐えられるマンションと言ってよいでしょう。【関連記事】
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