マンション物件選びのポイント/マンションの性能・耐久性

短命マンションと長持ちマンションの違いはココにあり(2ページ目)

これからはメンテナンス&リフォームで手を入れながら、同じ住まいに「長く住む」時代です。そこで今回は、長持ちするマンションとはどういったものかを主に構造面から探ります(改訂2017年3月、初出2007年8月)。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

コンクリートの水セメント比とかぶり厚さ

品確法では鉄筋を保護するかぶり厚さと水セメント比の組み合わせで長持ちする基準が決まっています。

品確法では鉄筋を保護する「かぶり厚さ」と「水セメント比」の組み合わせで長持ちする基準が決まっています。


2世代長持ち(おおむね50~60年)するためには次のような組み合わせが基準となっています。例として耐力壁を上げます。部位により基準は異なります。

■2世代長持ち(おおむね50~60年)するため基準
水セメント比55%以下+最小かぶり厚さ40ミリ以上、または水セメント比60%以下+最小かぶり厚さ50ミリ以上

■3世代長持ち(おおむね75~90年)するための基準
水セメント比50%以下+最小かぶり厚さ40ミリ以上、または水セメント比55%以下で最小かぶり厚さ50ミリ以上

2世代長持ちするコンクリートと3世代長持ちするコンクリートを比較すると、同じかぶり厚さの場合で水セメント比が5%小さくなっていることがわかります。すなわち水セメント比を5%少なくすると25~30年もさらに長持ちすることになり、水セメント比がコンクリート強度に重要なポイントとなってくることがわかります。

 

長持ちする外壁の種類

外壁がタイル張りだと躯体がより長持ちする

外壁がタイル張りだと躯体がより長持ちする

それでは別の観点から、コンクリートが長持ちするポイントを見てみましょう。それは外壁の仕上の種類です。外壁の屋外に面する仕上げが、タイル張り、モルタル塗り、外断熱工法による仕上げなどの場合、コンクリートのかぶり厚さが1センチメートルあると同程度の保護力があるとみなされます。

外壁がタイル張りのマンションは高級感がありますが、長持ちという視点からも効果があると言えますね。なお、吹きつけタイル、リシン吹きつけなどは有効な仕上げとみなされません。

 

住宅性能表示制度で長持ち度が一目でわかる

住宅性能評価を受けている物件はこのマークが目印です

住宅性能評価を受けている物件はこのマークが目印です

今まで述べてきた長持ちするマンションの条件を一目で見分ける方法があります。それは、住宅性能表示制度を利用しているマンションを選ぶことです。住宅性能表示制度を利用しているマンションには「住宅性能評価書」という、いわばマンションの品質面の成績書のような書類がついています。

その中の「劣化対策」という項目を見てください。もし「等級2」なら2世代長持ちする条件を、「等級3」なら3世代長持ちする条件を満たしています。ちなみに「等級1」は最低の基準である建築基準法を守った仕様のものとなります。

 

住宅性能評価書付きの物件を選ぶことは安心の目安になる

このように、住宅性能表示制度を利用しているマンションなら「水セメント比」や「かぶり厚」など専門的なことが分からなくても、評価書の等級を見ればどの程度長持ちする仕様で建てられているか一目で確認することができます。

住宅性能表示制度は2000年に始まった比較的新しい制度ですが、マンションでは利用数が伸び、首都圏の新築マンションではあれば7割程度は同制度を利用しています。安心のひとつの指標として、マンションを選ぶ際にはまずこのマークがついているかどうか確認してください。そして次に「劣化対策」の項目を見て、長持ちするマンションかどうかをぜひ確認してみてください。

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